「首」を観てきた感想。

 北野武の監督作品。「首」を観てきました。
 北野作品は、「その男、凶暴につき」をケーブルテレビで観て大ファンになりました。
 それ以来、北野作品が上映する度に走って映画館に行くようになりました。
 初期の北野作品は、陰鬱とした狂気が描かれていたと思います。そして、「座頭市」をターニングポイントに、私には理解の苦しむ狂気的な作品が続き「付いて行けない」と思っていた。
 しかし、「アウトレイジ」シリーズでまた新しい狂気の世界へと突入していったと思います。

 そして、「首」の感想ですが「バカヤロー」祭りでしたw
「アウトレイジ」にも言えることですが、狂気とコメディーの境目を行ったり来たりしているあたりが、とても面白かったです。
 観る前まで本作を会話劇中心だと思っていましたが、冒頭からバイオレンス炸裂のシーンから始まりアクションが終始繰り返されて飽きる事はありません。
 私は歴史には疎いので「本能寺の変」の事を薄っすらしか分かりませんが、それでも楽しめました。
 特に俳優陣の個性が爆発していて、織田信長を演じた加瀬亮の暴君ぶりは少々オーバアクトにも思えますが、狂気的な人物を演じるには丁度いい。
そして、北野武の演技。セリフの8割が「バカヤロー!」だったのも面白かったです。
 初期のどこか文芸的な雰囲気は薄くなりましたが、エンターテイメント作品に僅かな狂気とコメディーの要素を加えるあたりが見事だと感じました。

 本作の脚本は30年前に執筆したとの事。
 ちょうど、90年代。北野映画的でいうと狂気が炸裂していた頃です。
 もし、30年前にこの作品が作られていたらどうだったんだろうと?と妄想してしまいました。

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