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スタートアップ市場調査:多拠点生活・マルチハビテーション編

いつもイークラウドのnoteをご覧いただきありがとうございます

イークラウドではサービス開始以来、株式投資型クラウドファンディングを通して20案件以上のご紹介をしてまいりました。ご支援先の事業領域も幅広く、オンラインのカタログギフトからはじまり、D2C、SaaS、Femtech、培養肉、クラフトビール、ドローン、VR、AIなど幅広い事業領域のスタートアップ企業のご支援をしてまいりました。これからも、多種多様なスタートアップ企業をご支援していきたいと思っております。
毎回ご支援するスタートアップ企業の事業領域を深堀しながら、その企業のご紹介のストーリーを考えていますが、今回は弊社のインターンの前田が、今後イークラウドでご紹介したい特定の業界に関する市場の動向や注目のスタートアップ、その業界でECFを実施したスタートアップなどを調査しました。
本記事では、コロナ禍により注目を集めている「多拠点生活」をテーマとし、調査しました。

  • 多拠点生活に関するサービスは、どうして増加しているの?

  • 多拠点生活に関連するサービスの市場はどんなもの?

  • 多拠点生活型サービス領域にはどのような企業がある?

などの疑問に少しでもお答えするような記事になれば幸いです。
*本記事は、1ドル=139円(*2023年6月13日)のレートで計算しています。

■多拠点生活とは?

複数の生活拠点を取り入れるライフスタイルです。

近年、”住む場所を一つに絞らずに、複数の”住む”拠点を取り入れるライフスタイルが選ばれつつあります。日常的に複数の拠点で暮らすことや、平日の仕事は都会でこなして、休日は地方や自然の中で過ごす生活様式は「マルチハビテーション(※1)」と呼ばれることもあり、多拠点での生活を気軽に実践できるサービスが増えています。
※1:英語で“多様”や“複数”の「マルチ(Multi)」と住居の「ハビテーション(Habitation)」を組み合わせて作られた造語です。

コロナ禍においてリモートワークやワーケションのような、働く個人が仕事場所をフレキシブルに選択肢できる機会が増加したことにより、生活の拠点を複数持つという考え方が注目されるようになりました。2021年上半期の日経クロストレンドの消費分野において、「マルチハビテーション」は将来性の高い注目キーワードにも選ばれています。

■国内の多拠点生活関連サービスの動向

2030年には、37.5兆円の市場規模

国内におけるマルチハビテーションの市場規模は、2030年には37.5兆円にも上ると予測されています。その理由としては、過疎化が進む地方自治体が予算を組み、短期滞在でも地域に関われる仕組みを推進していることや、拠点が移動することにより、空き家マネジメント、移動サービス、荷物の預かりサービスなどといった、「住居」以外の「移動」や「仕事」のビジネスが活性化していくことが考えられています。

■多拠点生活関連サービスの現在

多拠点生活に関連するサービスのカオスマップ

出典:「SMOUT移住研究所(面白法人カヤック運営)」  

短期間~長期間の中で拠点を動かしていく利用者を対象にしたサービスから、週末のみの利用やセカンドホームとしての利用者を対象としたサービスまで、利用できる選択肢は多様になってきています。

さらに、多拠点生活のきっかけになりそうな周辺サービスとして、お寺キャンピングカーなどを活用し、非日常体験の中で”住むこと”を体験できるサービスも増え始めています。

■多拠点生活関連サービスを提供する上場企業

既に上場している企業においても、多拠点生活を可能にするさまざまなサービスが提供されています。

①東急株式会社

時価総額:10兆9,000億円(*2023年6月13日現在)
事業概要:定額で全国110以上の東急関連施設に1泊単位で自由に泊まれるサブスクリプションサービス「TsugiTsugi」を提供。2泊23,800円~から利用可能で、同伴者1名無料が特徴。

(出典:https://tsugitsugi.com/ )

②株式会社LIFULL

時価総額:373億1,900万円(*2023年6月13日現在)
事業概要:場所に縛られない自由なライフスタイルが実践できるコミュニティ型多拠点コリビングサービス「Living Anywhere Commons」を提供。地域に根ざす拠点では、コミュニティマネージャーを中心として滞在する人々が出会い、交流し、経験を共有し合う、刺激に満ちたコミュニティに参加できる。全国40拠点以上が利用可能であり、1回5,500円から月額で利用できるサブスクリプションプランも有。

(出典:https://livinganywherecommons.com/)

③三井不動産株式会社

時価総額:2兆6,600億円(*2023年6月13日現在)
事業概要:都市型拠点8施設、郊外型拠点2施設を1泊単位やマンスリーで借りられるサービス「ネステート」を提供。保育サービス付プラン 「n’estate with kids」も一部の施設で利用可能であり、子育てファミリー層の多拠点居住を推進している。

(出典:https://www.31sumai.com/nestate/)

■多拠点生活関連サービスのスタートアップ *非上場

上場していない企業でも多拠点生活を可能にするサービスは国内では現在増加傾向にあります。
ここでは、3社取り挙げていきたいと思います。

①株式会社KabuK Style

創業:2018年
時価総額:165億5,700万円(*INITIAL:2023年2月13日時点
事業概要:毎月定額で世界中の宿泊施設に滞在することができる“旅のサブスク”サービス「HafH(ハフ)」の運営。国内外の1,000以上の宿泊施設を、月額3泊8,820円~から利用可能。
株主:静岡キャピタル株式会社 / REVICキャピタル株式会社 / 株式会社星野リゾート / 近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社 / 凸版印刷株式会社など

(出典:https://www.hafh.com/)

②株式会社アドレス

創業:2018年
評価額:36億2,400万円(*INITIAL:2021/10/29時点
事業概要:定額制の全国住み放題多拠点居住サービス「ADDress」を運営。全国にある270以上の宿泊拠点を、月額2泊9,800円~から利用可能。すべてのADDressの家には管理人である「家守」(やもり)がいるのが特徴。

株主:株式会社静岡銀行 / 株式会社ボルテックス / Bonds Investment Group株式会社 / ちばぎんキャピタル株式会社 / プラスソーシャルインベストメント株式会社など

(出典:https://address.love/)

③株式会社Little Japan

創業:2017年
評価額:9,300万円(*INITIAL:2018/1/24時点
事業概要:月額定額制の全国泊まり放題・住み放題のサブスクリプションサービス「Hostel Life」の提供。北海道から沖縄までの日本全国22都道府県31箇所を、3泊9,000円~から利用可能。
株主:情報なし

(出典:https://hostellife.jp/)

■創業まもない多拠点生活関連サービス企業(創業3年以内)

こちらでは、創業から3年以内の多拠点生活関連サービスを提供する企業を紹介していきたいと思います。

①MoonBase株式会社

創業:2021年
評価額:情報なし
事業概要:子育て家族のための二拠点生活ができるサブスクリプションサービス「Co-Sato」を展開。「行きつけの田舎」と「拡張家族」がある暮らしを、自然豊かな田舎の物件のシェアリングによって実現していく。
株主:情報なし

(出典:https://co-sato.com/)

■海外の多拠点生活関連サービス企業

①Selina

創業:2015年
総調達額:$612.5M(約851億円)(*Crunchbase:2023年6月時点
本社:イギリス
事業概要:ミレニアム世代のノマドワーカーを対象とし、世界70拠点以上のワーケーション施設を運営。ホテル、ホステル、コワーキングスペース、ウェルネス、アクティビティを一つにまとめた体験型ホスピタリティを提供。低料金のドミトリーからラグジュアリーなスイートルームまで、ノマドひとりひとりの予算に合わせた幅広い選択肢を選ぶことができる。

(出典:https://www.selina.com/)

②Landing

創業:2019年
総調達額:$347M(約482億円)(*Crunchbase:2023年6月時点
本社:アメリカ
事業概要:アパートメントレンタル体験のサブスクリプションサービス。アメリカ国内の375以上の都市にある物件を、月額1495ドル(約21万円)から利用可能できるプラットフォームを運営。

(出典:https://www.hellolanding.com/)

③Inspirato

創業:2010年
総調達額:$179.5M(約249億円)(*Crunchbase:2023年6月時点
本社:アメリカ
事業概要:ラグジュアリートラベルのサブスクリプションサービス。富裕層をターゲットにし、世界に7万件以上ある5つ星を含んだラグジュアリーホテルなどを、月額2,500ドル(約35万円)から利用できるプラットフォームを運営。

(出典:https://www.inspirato.com/)

■まとめ

コロナ禍を機に大きな関心を集め始めた多拠点生活のライフスタイルは、働き方や生き方への価値観が多様になりつつある中で、幅広い層に浸透し始めています。
多拠点生活に関連サービスを提供する企業数は、2023年前半時点では多くないものの、大手のホテルや不動産企業も参画し始めており、各企業におけるユーザー数は増加傾向にあります。
また、多拠点生活関連サービス企業が大手の航空・鉄道関連企業と提携する事例も出始め、他の地域への移動と居住が容易になり、多くの人が多拠点生活を手に入れやすいインフラが整い始めています。
海外の先進国においても、日本と同様に都市離れやリモートワークなど、ライフスタイルが変化してきており、多拠点生活関連サービスのニーズは増加傾向にあります。
当たり前のように”住む”場所を移動する生活を過ごし、生活するさまざまな地域から新しい体験や学びを得て、自身の人生をアップデートさせ続けていく世界がやってくるかもしれません!

イークラウドでは多拠点生活に関連する業界のスタートアップも積極的にご支援しています。

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