詩集「屋久島」第二篇
文責:Taka
涙
その男を語る時
彼はうっすら涙を浮かべた
そして信頼という言葉を吐いた
いったいどれだけの人間が
亡き友の信頼に
涙を流すのだろうか
森星
森色に切り取られた星空があった
星が瞬いていた
川がさざめいていた
車座
囲炉裏を囲んで
車座になる
最初は6人と1匹
後に3人
2人になって
3人になる
2人になって
最後は炬燵で3人
船出
安房から降っていた雨が宮之浦でも降っていた
フェリーに乗り込みデッキで僕は島を見つめていた
さらば島よ
ゆたかな島よ
一瞬晴れ間が訪れる
僕はデッキを登ってお天道様の下でたんかんの皮を剥く
すぐに雨が降り出す
僕はデッキを降りてたんかんを食べる
甘いと思ったたんかん
最後はすっぱいと思ったたんかん
また晴れ間が訪れる
立ち上る雲に太陽が反射していた
晴れ間は束の間
空は表情を帰る
船が出る
さらば島よ
ゆたかな島よ
僕は少し雨に打たれる
雨だって島だから
おわり