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星詠み

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私が紡いだ詩をまとめています。
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詩篇

詩篇

鳴らせ有限の鼓動
光のない世界では
君の鼓動が私の道標となる
-道標-

戻らない時
叶わない願い
水底で眠るのは
ひび割れた貝殻
-貝殻-

真実という毒の棘は私の心をゆっくりと蝕んでいました。
失恋というのはこんなに苦痛なものなのですか。
壊れた世界には生命の囁きもありませんでした。
-失恋-

躰は朽ち果てた。
今夜は月がまるくて美しいのに、と
魂は水底で呟いた。
-揺蕩う-

短いものだっ

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ずっと一緒だよ -詩-

ずっと一緒だよ -詩-

今夜は月に贄を捧げる日。
その日のためだけに買われたぼく。
周りの人たちはぼくを冷たい目で見る。
でもきみだけがぼくを優しい目で見る。
話しかけてくれたり、一緒に遊んでくれた。
ずっと一緒だよ。ときみはぼくに言ってくれた。

そしてその日が来た。今夜は赤い満月だ。
周りの人たちはぼくを狂った目で見る。
祭壇に着くとむせかえるような血の匂いがした。

そしてそこにはきみがいた。
虚な目でぼくを見るき

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本当に欲しかったもの -詩-

本当に欲しかったもの -詩-

君が欲しい
真っ白な感情ではなく
真っ黒な感情だった

君を捕まえた
逃がさないように
真っ白な羽をもぎ取った
とても綺麗だったので
額に入れて飾った

君を捕まえた
ずっと求めていた
やっと手に入れた

君は私のもの
それなのに満たされない
なにが不満なのだろう

君が笑わなくなったから?
君が私を見てくれないから?

君を手放した
ずっと求めていた
君に自由を
君の魂は青空へ旅立つ

聲 -詩-

聲 -詩-

貝殻は海の聲を聞いていなければならない
波と戯れていようが
水底で眠っていようが
静かな場所などどこにもないのだ

貝殻は嫌気を起こしてカルサイトとなり
海の旅人たちを導く羅針盤となった
それでも海の聲は聞こえる

永久に

夜明け -詩-

夜明け -詩-

射干玉の闇に取り残されるのはわたしだけだ。
ああ泣かないでおくれ、わたしは嬉しいのだから。
あなたは前に進まなければならない。

夜明けを見るのはあなただけだ。
喜びの歌をきくのはあなただけだ。

さあ光の雫を飲みなさい、明日を迎えるにはそれしかない。

静謐な昨日は別れを告げた。

咎人の旅 -詩-

咎人の旅 -詩-

辿る星の跡
拭った涙の痕
沈む月にくちづけを
眠る星に子守唄を

流星の欠片を砂漠で探すふたり
歩き続ける賢者
諦める愚者

照りつける太陽
喉の渇きは理性を失わせる

毒蛇は愚者を唆し剣を授ける
賢者を殺して血を啜ればいいと

愚者の理性はとっくに崩壊していた
そして凶行に走る

歩き続ける賢者の背後からひと突き
剣を抜けばドクドクと血が溢れる
愚者にはそれがオアシスのように見えていた
賢者の血

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