ずっと一緒だよ -詩-
今夜は月に贄を捧げる日。
その日のためだけに買われたぼく。
周りの人たちはぼくを冷たい目で見る。
でもきみだけがぼくを優しい目で見る。
話しかけてくれたり、一緒に遊んでくれた。
ずっと一緒だよ。ときみはぼくに言ってくれた。
そしてその日が来た。今夜は赤い満月だ。
周りの人たちはぼくを狂った目で見る。
祭壇に着くとむせかえるような血の匂いがした。
そしてそこにはきみがいた。
虚な目でぼくを見るきみの首
ぼくの頭の中は真っ白になった。
ぼくの体を押さえつける大人たち
(あいつもこの日のために買った)
数多の生贄の血がこびりついた大きな斧
(生贄はふたり必要なのだ)
ぼくは絶望して叫ぶ
(その絶望が最大の贄だ)
振り下ろされた斧、途絶えた叫び。
これでずっと一緒だよ。
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