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レコ屋スタッフの記念すべき1枚目 Part3:あなたがレコードに手を出した理由を私は知りたい。私?私の答えは中段で

こんにちは、エコストアレコードです。

毎週水曜日に配信する連載企画。今月は当店スタッフが初めて手に入れたレコードについて紹介しています。

今回は、SNSをツールに弊社のマーケティングを担当するスタッフのエピソード。初めて手にしたレコードは今でも思い入れが強いそうです。



なぜレコードを買ったのか。なぜレコードでなければなかったのか。

我々はそんなミレニアル世代、とりわけ私は田舎に生を受けたミレニアル世代ど真ん中である。自家用車のカーステレオとラジカセという再生環境が、中学生の頃にはMDに代わり、子ども部屋には決まってミニコンポが置かれた。実家のレコードプレーヤーはインテリアという名の雑誌置き場と化していた。そんな北海道の片田舎の中高生にとって、レコードを買える場所などあるわけがなかった。せいぜいメジャーどころの輸入盤CDが限界である。ところで輸入盤って覚えてる?

物心つかない頃からCDだらけの家に住んでいたせいで、これが原初体験だ、筆おろしだ、プライマルスクリームだの、記憶が朧げである。自分で購入した8センチCDなら「走れマキバオー」か、嘉門達夫の「新・替え唄メドレー/諸行無常」のどちらかだ。どちらが先だったかもわからない。CDアルバムならサザンオールスターズのベスト盤『海のYEAH!!』であることは間違いないのだが、レコードといえば…
と、書いていたら訃報が飛び込んできた。
そう、私が買ったのはイエロー・マジック・オーケストラの『公的抑圧』だ。

イエロー・マジック・オーケストラ / 公的抑圧(Alfa, 1980年発表作品)※手に持つのは筆者


忘れもしない大学1年の秋ごろの話である。私の進学した地域にはポツンと1軒の中古レコード屋があり、私は意を決してバイト代をサイフに入れてレコ屋までホンダの原付を走らせた。

なぜレコードが欲しかったのか?「かっこいい」と思ったからだ!!

その時、私が最も心ときめかせたのが『公的抑圧』のジャケットだった。見たことがあるエキセントリックなジャケット!おまけに私は高校の頃はライブ盤の多いHR/HM小僧だったせいで、ライブ盤が大好きだった。これはもう買うしかなかったのである。
もう1枚のレコードとともに私はカバンの荷物を増やして帰宅したが、私は結局そのレコードに針を落とすことなく!レンタルCDを借りて!CD-RにコピーすることもなくiTunesに落としてMDコンポにラインアウトさせて聴いた。簡単な話、レコードプレーヤーを買う財力がなかっただけのよくある大学生の苦悩。

「何故ギターの音がないの?何故全部シンセに代わってるの?」という疑問は「大人の事情 ※」として消化され、私はそのレコードをデスクに飾ったままAppleロスレス音源で『公的抑圧』を聴いていたのだが、結局私がこのアルバムを通じて聴いていたのは一貫して坂本龍一によるシンセサイザーの調べだ。大人の事情で渡辺香津美のギターと差し替えられたシンセサイザーProphet-5の音によって、私のYMO観が完成されたのであった。

※ギタリストとしてツアーに参加していた渡辺香津美だが、契約の都合により彼の演奏がカットされてしまった。その結果、渡辺の演奏の音は代わりに坂本龍一が奏でるシンセサイザーに差し替えられた。このことから『公的抑圧』というタイトルになったとか、そうでないとか

よく考えてみればうちの母親は山下達郎『イッツ・ア・ポッピン・タイム』が人生のオールタイムベスト盤だし、家ではいつも大貫妙子やら矢野顕子やらを聴いていたし、幼い頃からずっと洗脳のように坂本龍一の鍵盤の音とを聴かされていた人生だったな、としみじみ思い出しながら私は自身のDJでこの『公的抑圧』の「ジ・エンド・オブ・エイジア」をスピンした4月の初旬でありました。

ちなみに初めてレコード屋で買ったレコード2枚のうち、もう1枚はモリッシーの『ビバ・ヘイト』でした。これも結局1回も聴かずにプレーヤーを買うことなく引越しのタイミングで手放したなー。多分大学のサークルの部室に転がっています。ジャケットが最高すぎる。これもまた、レコード愛ってもんでしょうよ。


筆者紹介:
桐尾 渓(きりお けい)
世に忍ぶ仮の姿はFace Records SNSの中の人。その本性はラーメンブロガー、インスタグラマー。世界一好きなバンドは多分 ヨ・ラ・テンゴ。


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