【前編】ブルーノートをほぼコンプした私が勝手に選ぶベストアルバムTop10
ジャズをもっと知ってみたい皆さんはBlue Note(ブルーノート)というとどんなイメージがありますか?Blue Noteは、ジャズの世界では圧倒的な知名度を誇る人気レーベルです。1939年にドイツ人 アルフレッド・ライオンが米国ニューヨークでBNを設立してから、傑作と評されるアルバムを数々生み出してきました。
そんな筆者も、ある日その奥深さと”凄み”に興味を持ちオリジナル盤(最も時代の古い貴重なレコード)の収集を開始。何作品聴いても、何回聴いても飽きることがないその素晴らしさから、私自身もあっという間に虜になりました。当時20代前半だった私はヒップホップとR&Bを熱心に聴いていましたが、「ジャズを勉強したい」という小さな”熱い”興味が沸いてから、所有するレコード・コレクションは約15年かけてBNの主要な作品をほぼ集めきるほどまでに。
ほぼというのは、私が集めたのは全てではなく、
ではありますが、一枚ずつ、全てオリジナル盤でコレクションしてゆきました。途方もない労力と資金が掛かったのは言うまでもありません。中古レコード店に通って、時に国内のネットオークションで、時に海外のネットオークションで。「血眼になって探すというのはこういうことか」と気付くことすらないくらい夢中で探しました。
瞬く間に私の部屋はBlue Noteのレコードでいっぱいに。今思えば、寝ても覚めてもBNのことを考えていた15年間だったでしょう。もはや恋愛です。そんなBlue Noteが世に送り出した名作を「筆者が選ぶトップ10」と題して、ジャズを楽しんでみたいというあなたのためにこちらで紹介してみたいと思いました。
今回はその前編、10位から6位までの作品を並べます。
文:福田俊一(Ecostore Records)
10. Donald Byrd / Stepping Into Tomorrow / BN-LA368-G
1975年発表。58年録音の『オフ・トゥ・ザ・レイシズ』(BLP 4007)への吹き込み以降、長年にわたりBNから作品を発表し続けたベテラン、ドナルド・バードによる快作。ラリー・ミゼルがプロデュースを担当。2000年代にエリカ・バドゥやJ・ディラにもカバーされた「シンク・トゥワイス」がハイライトともいえる、ジャズファンのみならずクラブ・ミュージックにも好かれている一枚です。
ドナルド・バード(tp), ゲイリー・バーツ(as), デイヴィッド・T・ウォーカー(g), チャック・レイニー(b), ハーヴィー・メイソン(ds) ほか参加。
9. Horace Silver / Song For My Father / BLP 4185
1964年録音。ポルトガル生まれでカーボベルデ共和国という西アフリカで育った父への想いが詰まったホレス・シルバーの名盤。彼は52年に10インチアルバムでデビューして以降、ルー・ドナルドソンと並んで同レーベルで長く活躍したアーティストでした。タイトル曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」では、ジョー・ヘンダーソンのテナーサックスがソロで熱を帯びるのに加え、シルバーの左手と右手が生み出す独特のリズムが最高にクセになるアルバムです。
8. Lonnie Smith / Think! / BST 84290
1969年発表。オルガンの名手、ロニー・スミスのBlue Noteデビュー作。レイ・チャールズの片腕としても活躍したサックス奏者 デヴィッド・ファットヘッド・ニューマンと、BNではすっかりお馴染みのトランぺッター リー・モーガンのフロント2人の参加が何とも嬉しい一枚。1曲目のヒュー・マセケラ作「サン・オブ・アイス・バッグ」は、熱波のようなグルーヴが押し寄せる中で各々のソロが際立つ素晴らしい楽曲。
タイトル曲はアリサ・フランクリンのカバー。
7. Hank Mobely / S.T. / BLP 1568
1957年発表。ファンの間では通称1568(イチゴーロクハチ)として知られる、モダンジャズのレコードでは最も高額なことで有名な作品。今となってはCDでも再発盤でも比較的容易に入手できるアルバムですが、81年に日本のキングが国内盤を発売するまで四半世紀近くも廃盤の憂き目にあっていた、オリジナルではプレスされた枚数も少ない大変希少なLP。
ソニー・クラーク(p), ポール・チェンバース(b), アート・テイラー(ds)というリズムセクションも申し分ない、ハンク・モブレーのテナーサックスが光る素晴らしい内容です。
6. Paul Chambers / Bass On Top / BLP 1569
1957年発表。マイルス・デイヴィスのバンドをはじめ、その実力から当時あらゆるレーベルから引っ張りだこで活躍した名ベーシスト、ポール・チェンバースのBNでの3枚目となるリーダー作。それまでの2枚とは異なり、管楽器が抜け、代わりにギタリスト ケニー・バレルが参加したカルテットでの演奏。コール・ポーター作曲の名スタンダード「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」でのチェンバースとバレルのソロが秀逸な出来です。
チェンバースの巧みなピチカート(弦を指で弾く奏法)を、あなたも是非このアルバムでお楽しみあれ。
Blue Noteの有名な楽曲・アルバムは、歴史の中で数多くあれど、ひとつとして同じものはありません。鬼気迫るハードバップもあれば、ゆったりとしたバラードもあります。
あなたにとってジャズへの興味の入り口となるような素敵な曲を、ここで一緒に探してみましょう。
※【後編】5位~1位はコチラから
【Blue Noteのことをもっと詳しく知りたい方はあわせてコチラもどうぞ】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?