![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93230333/rectangle_large_type_2_4dc14335fbadb00ab6b819034b46c49e.jpg?width=800)
湿度 その後
「あなたを愛しているわ」
彼女は言った。
僕はいつも宇宙の話をした。
僕はいつも陰謀の話をした。
彼女は、笑った。
僕は、彼女の内側に入りたくて、入りたくて、
いっそのこと、彼女になりたかった。
「かまわないわ。今日は詩人が旅の途中で死んだ日だもの」
彼女は壊れていたのに、
僕の入る隙間はいつもひとつしかなかった。
そこはただの入り口にすぎず、
僕は永遠に、彼女になることは出来ないのだ。
相変わらず、僕の汗にまみれた彼女は言うのだ。
「ねえ、あたしはあなたを愛しているわ」
「神がそうするように、あたしは愛しているわ」
僕は、彼女の細い首に、手をかけた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?