電子工学が文武両道を証明するかもしれないと思った話

私は、勉強や部活やその他の高校生活全ては、人それぞれ最適解が違うのだから「文武両道」と言う一言で括るのはナンセンスだと思っている人間です。
 森田真生さんの「数学する身体」という本を読んだら、面白い話が書いてあった。

イギリスのエイドリアン・トンプソンという進化電子工学の研究者が行った研究によると、「コンピュータが自身で進化するプログラムを動かした時に、完成する回路が人間が考えた最適な回路よりも手数が少なくて済み、さらには、人間が考えた回路では到底無意味と思える回路を使用している」らしい。著者はそれを「リソースとノイズの境界はない」と表現している。
どうやら、本来は回路を流れる電流によってプログラムは動くわけだけれども、これまではノイズと言われて嫌われてきた、電流で発生する電磁波もプログラムに利用させているのだそうだ。
 これを短絡的に高校生に当てはめれば、学業成績を上げるために必要な時間と体力を部活動に費やすことは、リソースの消費とノイズの生成になるわけだからなかなかうまくいかないと考えることは普通の思考回路なんだけれども、実はその部活動で生じるノイズが結果的に学業成績を上げるプログラムの一部なんだよね、ってことになり得ますね。


 これの凄いなと思うところが2つあって、ひとつ目は、今のところ部活のノイズが必要なプログラムだということを証明できる術がないから、文武両道だ!と言われたら返す言葉が無くなってしまうところ。そしてふたつ目は、なんならノイズの除去が電子工学の最重要と言っても過言ではないはずなのに、真っ向から否定していて、もう人間の思考回路を超えてるじゃんてところ。(感情とか含めて乗り越えられている)
 研究の世界でも、なんだかわからないけれども上手くいくが増えているみたいです。(量子コンピュータもそんな部分があったはず)

数学する身体:著者は理転した方で、数学の面白さを伝えようとしている人。数学にまつわる話を出して、人間と数学の関係性を綴っている本。数学の歴史をエピソードと共に再編集していて、数学とは何かを考えるきっかけにはとてもいい本だと思う。

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