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ゲスト満足度向上のカギは自己紹介!【地方の観光事業者が取り組むべきこと #001】

今回から新連載「地方の観光事業者が取り組むべきこと」をスタートします。私からの提案を綴るものになりますので、文体も「である調」から柔らかい「です・ます調」に改めています。

記念すべき第1回目のテーマは自己紹介です。私はもともと、旅が大好きで、DMO(観光地域づくり法人)で働いていることもあり、ガイド付きツアーに参加することがあります。

が、参加して感じるのは、日本人のガイドは自己紹介をしないか、してもかなり薄いことです。特に、地方の日本人向けツアーで年配のガイドの方が、自己紹介をせず、自分の知識を一方的に披露されることがありますが、これだとゲスト満足度を上げるのは難しくなります。

今回は、自己紹介の重要性について掘り下げます。


○インバウンド向け相撲学校体験で感じたこと

2月始めに東京の両国国技館内にある相撲学校を体験するツアー(英語対応)に参加しました。参加者は私も含め全部で17名。フランス、ドイツ、アメリカ、ニュージーランドなど欧米豪が中心でした。
体験料は一人あたり12,000円。両国国技館内の相撲博物館で相撲の基礎知識を学び、相撲学校で親方による深堀りした解説を聴き、男性のみが本物の力士と相撲ができるツアーとなっていました。

当日のガイドさんは小柄な日本人の女性。集合場所の両国駅のセブンイレブン前で出欠確認が終わると、ガイドさんの自己紹介が始まりました。

ガイドさんは、ファーストネームがゆりこさんで、海外経験があるとのこと。ワサビが有名な静岡県出身で、自分が相撲をやるわけではないが、相撲観戦が大好きなことなど、ユーモアを交え、しっかり自己紹介をされていました。時間にして2分程度。これまで参加したツアーの中では最長です。

17名のゲストは真剣にゆりこさんの自己紹介に耳を傾け、時折、笑いもありつつ、和やかな雰囲気でツアーがスタートしました。

○自己紹介をしっかりやるメリット

相撲学校体験に参加して感じた自己紹介をしっかりやるメリットを3つ挙げます。

① ゲストの質問を引き出し満足度をあげる

相撲学校体験のようなガイドツアーは、いかにゲストから質問を受けるかが、満足度に大きく影響します。ゲストは質問することにより、自身の知的欲求を満たすことができ、ツアーに対してポジティブな印象を持ちます。

さらに、ガイドとしても、ツアー中に質問を受けることができれば、当日のゲストの興味関心に合わせてツアー内容を変更することもできます。満足度が上がらないはずがありません。

満足度を上げるために、重要な質問を引き出してくれるのが自己紹介です。
自己紹介により、ゲストは、ガイドと共通の話題を見つけることができ、質問しやすくなります。例えば、ガイドが、日本のサッカーチームの熱烈なサポーターであった場合に、インバウンドのゲストは日本のサッカー事情について質問することができます。また、ガイドの趣味が餃子の食べ歩きだった場合は、地元のおすすめ餃子店について質問できるでしょう。

また、自己紹介は一番最初にすることが重要です。ツアーの最後に「実は、私、陸上の国体選手なんです。」と言われたら、「最初に言ってよー。」って話になってしまいます。

②話を聴く価値があると思ってもらえる

もう一つ、ゲスト満足度に影響するのが、誰がガイドか?ということです。特にインバウンドは、何時間もかけて訪日し、旅先の貴重な時間を使いツアーに参加することになります。

そして、自己紹介がゲストに「私の話を聴く価値がありますよー」っとアピールできるポイントとなります。

なにも、○○の子孫である必要はなく、ゲストにとって価値があることを言語化できれば良いということです。インバウンドから見れば、日本の地方に20年以上住んでるだけでも価値です。ラーメンの食べ歩きが趣味で、独自の切り口でラーメン屋を紹介できることも価値になり得ます。

③OTA(オンライン・トラベル・エージェント)などに口コミを書いてもらえる確率が上がる

ツアーや体験型観光メニューの安定的な集客には、国内の楽天トラベルやじゃらん、海外のviatorやKlookなどのOTAの口コミの数と評価、コメントが重要になります。5つ星評価の口コミが100ぐらい溜まっていると、安心して参加できますが、ゼロとなると、本当に満足できるツアーか不安になります。

自己紹介をしっかりしていると、①、②の理由で満足度が上がるうえに、名前を覚えてもらえるので、口コミを書いてもらえる確率が上がります。ガイドツアーの口コミは、会社にというよりは、ガイド個人に対する感謝の気持ちをガイド名を記載の上、口コミされることが多いのです。

○他の業種での応用

自己紹介のメリットは他の業種に応用できます。

①飲食施設

メニューにお店のオーナーや料理長の自己紹介を記載できます。カウンター式の店であれば、ゲストから質問がきて、話が盛り上がるかもしれません。

また、メニューに自己紹介を入れないまでも、店の中に、自分の趣味趣向を表すものがあれば、自己紹介の代わりになるでしょう。以前、地元のカレー屋で食事をした際に、店の中に店長の子供が野球を楽しんでいる写真が飾ってありました。私の息子も野球をしているので、それをきっかけに子供の野球話に花を咲かせてことがありました。

②宿泊施設・お土産屋

スタッフが、名札をしている施設やお店であれば、自己紹介の代わりに、対応言語の国旗のシールを名札に貼ったり、自分の趣味や特技を表す文字やピクトグラムを貼ることも可能です。

そうすれば、ゲストも一層の質問しやすくなると思います。

○まとめ

自己紹介は、体験型観光メニューを実施する事業者だけなく、飲食施設や宿泊施設でも応用できます。

ぜひ、自己紹介をしっかりやって、顧客満足度を上げていきましょう!

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