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最近の生保ニュース・・・コロナ5類移行、不妊治療保険、生保の新しい競争軸

不安のオンピーク・オフピーク

2023/5/8から、いよいよコロナが5類移行となる。コロナ禍では各社ともに入院保障のみなし支払いで膨大な数の事務を捌いており、人員が大変逼迫していたはずだが、これにて終了だ。

余剰分の人材をどう活用するかが、各社の今後の展開を左右するようになるだろう。

経済活動が停滞して新契約高が大きく落ち込んだ後、コロナによる入院保障の伸びが保険料収入の上昇に大きく貢献した。

社会全体の不安感が高まると売上が増えるというのは保険の常である。その後、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で不安が治まった後も、保険料は静かに引き去られてゆく。

このような「不安のオンピーク・オフピーク」により保険は世の中に広まる。

コロナが5類に移行した後も、医療保険は入院に備える役割があるので、持ち続けていても何も問題はない。

健康意識が高まってジムに通い始めて月会費も払ったのに、いつのまにか行かなくなってお金だけ払っているなんて例をみなさんも見聞きしたことがあるのではないだろうか。

しかし、生命保険はその間も保障が確実に提供され続けているので、いわゆる「退蔵益」とはちょっと違う。ここが他のサブスクサービスと生命保険の大きな違いである。

不妊治療への備えと先行指標について

私の同年代である30代といえば、出産・育児の真っ只中である。必然的に不妊治療の話も聞く機会が多く、「妊娠の目処が立ったから転職した」など、人生設計にかなりの影響を及ぼすビッグイベントだ。

菅元首相の功績として不妊治療の保険適用があるが、「これこそ真の少子化対策だ」と、同年代の人間はみんな絶賛していた。

さて、保障の中核層となる20〜30代にとってホットなのが不妊治療なわけだが、「ここを起点として接点を作ればチャンスだ」と考えた会社が不妊治療への備えを前面に押し出した商品を販売し始めている。

診療報酬点数上の扱いが見直される病名は、生命保険にとって新商品の糸口になりやすい。景気変動の予測のためにさまざまな先行指標が参照される場合があるが、生命保険業界の先行指標はまさしく診療報酬の変更なのである。

生命保険はどこまでいっても国にベッタリな産業なのだ。

生命保険の新規軸をどこに求めるか

業界の競争の軸は、約款のような目に見える部分から、バックオフィス(事務や運用)を背景とした商品設計に移り変わっている。

メリハリの効いた投資こそが重要な一方、裏方業務は専門性が高いものばかり。

学会における論文査読制度も似たようなものだが、専門性の高い分野は専門家でないとその有用性を見極めることができず、自然とムラ社会の論理が幅を利かせて世の中からの乖離が生じてしまう。

専門性と世間の一般感覚との間で、どれだけズレをチューニングできるかが各社の腕の見せ所である。

それこそ、優秀な裏方人材は引き抜きが激化するだろう。

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