【おすすめ本】 『物語 イタリアの歴史』(藤沢道郎著・中公新書)
タイトルに偽りなし、歴史書というより物語。しかも危険なほど面白い。
全十話で一話につき一人の重要人物。彼らの生涯を軸にその歴史的背景を織り込み、西ローマ滅亡からイタリア統一までを描いている。
読み始めて舌を巻いたのはその力強くも品格ある語り口。
複雑なイタリア半島の情勢をここまで整理して面白い「物語」にしたのは凄い。
各話コンパクトでありながら、ずしりとした重みを感じるのは、構成が緊密で展開に無駄がないせいだろう。何をどのように切り残せばベストか確かな眼を感じさせる。まるで腕