不意に不思議な怪物が私の眼の前に現われて来た。それはちょうど鶴のような恰好をした自働器械である。その嘴が長いやっとこ鋏のようになって、その槓杆の支点に当るねじ鋲がちょうど眼玉のようになっている。

寺田寅彦の短編「夢」から。この「鉄の鶴」が奇妙に忘れられない。

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