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木曽からやってきたいちご

私の趣味の一つに、自然農などをやっている農家さんを訪ねるというのがある。茅ヶ崎で一年だけ自然栽培の畑で働いていたので、種をまく方法とか、苗を植えるコツ、次の実がまた生えるようにする収穫の仕方、野菜を間違えて踏まないようにするなど、最低限のマナーを守った畑作業はできるようになっていた。

木曽町で協力隊をしていた時に、隣町の木祖村や、南木曽町で自然農をやっている人たちを訪ねて、畑作業を手伝いがてら話を聞いたりしていた。

基本的に彼らは農薬などは使わない。ミツバチが死んでしまうからだ。あるおじいさんは炭焼きをしていて、ヤギを飼っていて、ヤギをとても可愛がっていた。ヤギは畑に生える草を食べてくれるし、糞は土に良い。手作りの小屋で大切に飼われていた。

木曽町にも一件有機農家さんがいて、そこは木曽馬の馬糞を肥料として使っていた。馬の餌は海外の牧草なので、全部木曽産というわけにはいかない。でも、標高1000m以上で夏が短い開田高原では馬糞を使わないと野菜の生育が間に合わないのだろう。

南木曽のみなとや農園さんは、道の駅に無肥料無農薬と書かれた「まこも」が置いてあったので、連絡をとって畑を見せてもらった。まこもだけは水を浄化する作用があって、山からの湧き水を田んぼに引くところに植えておくと、低い水温を緩和してくれるので良いらしい。

まこもの葉っぱはしめ縄も作れて、お茶も作れる。今の時期は田植えが始まって、手伝わせてもらったこともある。家族3人で何反もある田んぼを機械があるとはいえ、全部やるのは毎年大変だ。稲刈りも。田植えと稲刈りだけでも、知り合いの農家さんを手伝えるようにする制度があってもいいように思う。主食だし。

自然農や農薬を使わないで農業をしている農家さんは、実は肩身がせまい。他のところではみんな農薬を使っているからだ。雑草を生やすと怒られる。高齢化で草刈りが大変すぎて除草剤を使わざるを得ない。人がいなくなっているので竹が生えてきたり獣害もひどい。実は都会の方が獣害が少なくて、自然栽培の野菜を買ってくれる人もいるので商品の出口のことを考えるとビジネスチャンスはある。

みなとや農園の長女のMさんは、私より10歳ほど年上で、神奈川でエンジニアをしていたこともあるけども、今は実家に戻って自然農をしていた。私は時々木曽町から南木曽に行って、Mさんの畑仕事を手伝うのが好きだった。自然農をやっている人の畑はどれも植物がうれしそうな感じがするのが好きだ。Mさんはいろんな野菜の様子を見せてくれた。誰かの絵を見せてもらうのと少し似ている。

木曽町で畑がある家に引っ越した時に、いちごの苗を分けてもらった。木曽から茅ヶ崎に戻る時に、いちごの苗を車で持ってきた。一昨年植えて、去年はランナー(つる)ばっかりが増えて、今年やっと実がなってきた。形は悪いけど甘い。食べてしまったので写真はありません。

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