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【自己紹介】手紙と私

私は大阪で「Echos Design & Lettepress」という誰もが活版印刷機や箔押し機を使って自由にものづくりができるワークスペースを主催しています。
まずここではEchosのこと、私のこと、私の原点である手紙の話を交えて紹介させていただこうと思います。

Echos Design & Letterpressとは

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ワークスペースで作られるのは名刺やショップカードなど小さい印刷物から、結婚式の招待状やウェルカムボードなどの少し大きいものまで多岐に渡ります。
私の役割はご利用される方が作りたいものを作れるように、機械の使い方や印刷の方法などをレクチャーすること。

慣れればレクチャーなしで自由に制作される方も多いので、そういう方がご利用の際は私はただ見守っているだけ(見守ってさえいない時もある程自由に使っていただいてます)。
最初はお客様かもしれませんが、お一人で印刷できるようになれば共に場所を共有している制作仲間だと思っています。

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そう、つまりは私もそのワークスペースで制作している一人ということです。みんなのワークスペースでもあり、私のアトリエのようなものでもあるのです。

Echosの原点

私がEchosで作っているものはグリーティングカードやレターセットなど、お手紙まわりの紙もの。企画からデザイン、印刷までを主に活版印刷機を用いて一人で制作しています。

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私のものづくりにおいてなくては語れないもの、それは「手紙」と「活版印刷」。
ただただ、それが好きということが全ての原動力な気がしています。

ひたすら便箋を集め続けた幼少期

小学生の頃、可愛らしい便箋に手紙を書いて授業中に交換するという、見つかったら怒られる、タイミングが悪ければ没収になりかねないような(小学生にしたら)ちょっぴりスリリングな遊びが流行っていました。
私はその遊びが大好きで、可愛い便箋を見つけては買い(むしろ探しにいくくらいの熱意)、全部使わないように1枚はコレクション用に取っておき、それを宝物のようにお菓子の空き缶に溜め込んでいたものです。
私にとっては便箋も宝物でしたが、友達からもらった手書きの可愛らしい手紙も宝物で、今でも小学校時代にもらった手紙は大切にしまいこんでいます。

掃除や片付けの度に目に入るそれを、たまーに見返しては温かい気持ちになり、またお菓子の空き缶に戻して大切にしまっておくのです。

手紙はさながら記憶のタイムカプセルのようなものです。
読み返す度にその時の気持ちや思い出が溢れ出し、感情を揺さぶるのです。

旅先から必ず送るポストカード

京都の美術大学を卒業してからすぐ、私はフランスに版画の勉強を続けるため留学をしました。
その約3年間で幸いにもヨーロッパのいろんなところを訪れることができました。
陸続きのヨーロッパは国と国の移動が電車や夜行バスでできる上に格安。
EU加盟国であれば出国、入国の手続きも特にありません(パスポートの携帯はもちろん必須ですが)。

私は旅先から必ずと言って良いほど母に手紙を書いて送りました。
現地のお土産物屋さんでポストカードを買い、郵便局で比較的その国らしい切手を見繕い、夜に疲れて戻ったホステルのベッドの上で、時々イラストなんかを交えてびっしり旅の思い出を書き連ねたのです。

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今でも母はそのポストカードたちを大切に引き出しにしまっていて、私が旅先で感じたことや体験した出来事を一緒に経験しているような気分になったと言います。

手紙はただの紙切れにすぎません。
しかし、その紙切れが異国の空気や匂い、そこで体験した出来事を運んでくれる贈り物にもなるのです。

共有したくなる印刷

手紙が大好きな私ですが、もちろん日々の忙しさからメールやSNSのメッセージで済ましてしまうことがほとんどです。
そりゃ憧れますけど、頻繁に手紙を書くような丁寧な暮らしなんて程遠いです。

多くの人がそうであるように、それが日常です。

その日常の中にふと、手紙を書きたくなる。
気持ちや体験を誰かと共有したくなる。
そんな機会を増やすことができるのではないかと思ったものが「活版印刷」でした。

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活版印刷とは
活版印刷とは、金属や樹脂、または木で作られた活字や版にインクを付けて、圧をかけながら紙に印刷するという昔ながらの印刷方法。
小さい頃学校の美術の授業でやった木版と同じ凸版印刷という部類の印刷技法で、出っ張った部分にインキをつけて印刷します。

インキのかすれや線の揺らぎ、圧をかけて印刷することで生まれるへこみ、活版印刷でできる印刷物は少しづつ違ってひとつとして同じ物はありません。
そんなデジタル印刷では表現できない、独特の風合いや味わいは、活版印刷ならではのものです。

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とまぁ堅苦しく活版印刷を説明することもできますが、活版印刷と出会って私が最初に思ったことは、
「え〜これ誰かに見せたい〜!」
でした。

更にそれを自分で印刷した時は
「え、自分で印刷できるとかすごくない?誰かに見せたい〜!」
となるわけです。

活版印刷は実物を手に取ってこそ、その印刷技法の素晴らしさ、美しさを感じることができます。
更に作るものや使う機械にもよりますが、レクチャーさえ受ければ自分で印刷ができる印刷技法でもあります。

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「伝えたい」という気持ちは手紙を書く原動力です。
「想いが伝わる」印刷と言われる活版印刷は「何かを伝えたくなる」力があるのだと私は思ったのです。

「手紙」×「活版印刷」の相乗効果

これが私がEchos Design & Letterpressを作るに至った原点ですが、「手紙」も「活版印刷」も想いを伝える手段でしかありません。
そこに誰かの「伝えたいこと」があってこそ成立するものです。
それは自分の体験や感情だったりするでしょう。
自分のブランドや能力のアピールだって立派に「伝えたいこと」です。
つまりは想いが込められているものはなんだって「手紙」になり得るのです。

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何かを伝えるきっかけになる場所にEchosがなれれば。
そのお手伝いができればと思っています。

自分語りが一番難しい

ここまで読んでいただきありがとうございます。

私は言語化することが上手いとはよく言われますし、自分でも割と上手い方だと思っています(その特技を活かしてデザインスクールの講師もやってました)。
しかしそれが自分のこととなると特技とも言えるそれがほとんど機能しなくなるのだから、その落差にいつも閉口してしまいます。

自分のことについて言葉にすることは、自分の中に散らばった感情や記憶をひとつひとつ拾い上げて形にしていくような作業です。
正直ここまで書いてきて、こんなに「手紙」について語れることがあるとは思いませんでした。

普段の私はなかなか自分のことをさらけ出すことができない臆病者ですが、このnoteでは「手紙」や「活版印刷」の面白さ、自分の作りたいものを作る喜びを、少しでもたくさんの人と共有できるよう、自分の言葉でお話できればと思っています。

気が向いたら覗きに来てもらえれば嬉しいです。

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