今年は梅雨入りが観測史上、一番早かったそう。
梅雨の花といえば紫陽花ですが、梅雨入りの頃にはまだ街中で咲く紫陽花にはお目にかかれないほど、ひと足もふた足も早い梅雨の到来でした。
日本で紫陽花は梅雨時期に咲く花という印象がありますが、実は欧米では特に5〜6月に咲く花という印象はありません。
秋が旬だというお花屋さんもありますし、そもそも梅雨という感覚がないので「雨=紫陽花」という発想は日本独自のものなのかもしれません。
ですが、私は紫陽花ほど雨に似合うお花はないのではないか、と常々思っています。
日本は比較的湿度の高い国です。
湿度の高さは見える色を変えていきます。
例えば「日本古来の色」と言われるものは、どこか灰色がかかったような渋めな色が多いと思いませんか?
逆に南国や欧米でよくみられる色というのはそれに比べて彩度が高め。
例えるなら「ワインレッド」と「小豆色」といった具合に趣が違います。
(もちろんどちらが良いということではありません。)
経度緯度も関係あるでしょうけど、私は湿度によって光の屈折が変わるからでは、と思っています。
それが一際顕著なのが、湿度が高くなる梅雨時期。
分厚い雲の下の景色は、全体的に仄暗く、燻んでいるように感じます。
まさに「どんより」という表現は言い得て妙ですよね。
「どんより」とは
空が曇ってうす暗いさまを表わす語。色合いなどが濁って重くうるんだようにみえるさまを表わす語。
その湿度の高い、少し重めの空気の中に溶け込むように咲いているのが紫陽花です。
今でこそピンクや赤など鮮やかな色合いも多い紫陽花ですが、ほとんどが西洋で品種改良されて生み出された品種。
日本古来の紫陽花のほとんどは藍色か紫。
それが土壌の性質によって赤みが強くなったり青みが強くなったりするのです。
なので私が紫陽花のカードを作ろうと思った時に、色はグラデーション一択。
その移ろう色や、湿度に霞むその存在感をどうにか表現したかったのです。
生憎、活版印刷機でグラデーションを印刷するのはなかなか難しく、インキローラーを回している間に色がどんどん混ざってしまう為、たくさんの数を一回で印刷できません。
また、一枚一枚そのグラデーションの具合も違ってきます。
でもその微妙で曖昧な色合いこそ紫陽花だなぁと、一枚一枚印刷する度、愛でてしまいます。(なので時間がかかってしょうがない)
最近ではいろんな品種が開発され、色も形も本当にさまざまな紫陽花が梅雨の鬱々とした気分を癒してくれます。
雨の中外出するのは億劫ではありますが、傘をさしながら見る紫陽花はなかなか趣深いもの。
是非、この時期だけの紫陽花を愛でてみてください。
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