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同じだけど同じじゃない、が伝わらない

伝わらなくて歯がゆいとか、

相手が何を伝えたいのかわからなくて苦労した

という経験は誰にもあると思います。

今日はそのお話です(1378文字です)。



ずっと昔の話。

私が保育園に通っていた頃のある朝、

父が、マーガリンを塗ったトーストを朝食に食べていました。

私の分もトーストが用意されていましたが、

まだ何も塗られていません。


起きてきた私に

ジャムを塗るかマーガリンを塗るか選択させようと

両親は考えてくれていたのでしょう。


私はマーガリンを塗ってもらいました。

父と同じものが食べたかったのです。


でも、私の前に置かれたマーガリンのトーストは

私が希望したものではありませんでした。


私が食べたかったのは、

父が食べているのと同じように

きつね色に焼けたパンに、

溶けたマーガリンがしみ込んだトーストでした。


私の前に置かれていたのは、

溶けていないマーガリンで白く覆われたトーストです。


何を塗るかを私に選ばせてくれたのは両親の思いやりでしたが、

そんなことは子どもには関係ありません。

私が起きてくるまでにトーストが冷めてしまったのでしょう。

私の目には、父のものとは違うトーストに映ったのでした。


私:「これじゃない、ちがうよ」

母:「お父さんと同じでしょう?マーガリンだよ」

私:「ちがうもん、お父さんと同じがいい」


こんなやり取りを数回繰り返し、

両親から

「もう、わがまま言うなら食べなくていい」

と言われてしまいます。


結局、納得いかないまま

白塗りのトーストを食べたのでした。

白塗りは白塗りで好きなのですが、

その日の気分はきつね色だったのです。



「同じだけど同じじゃない。

マーガリンが溶けたパンがいいの」



私には主張があったのに、

これらを表現する方法を知らなかったがゆえに伝えられませんでした。

両親も、私がこんなことを考えているなんて想像できなかったでしょう。


共働きのため朝は忙しく、

娘の欲しがるものを与えているのに、「違う」と繰り返されれば、

苛立ってしまう両親の気持ちも今ならよくわかります。


すれ違いとは、こうして起きるのだなと

悶々とした記憶として、大人になった今でも残っています。


子どもが駄々をこねているのって、

単純にわがままを通したいときだけでなく、

伝えたいことが伝わらない悔しさとかなんじゃないかなと思います。

大人になっても、変わりませんよね。



今ならこの「同じだけど同じじゃない」を伝える能力はあるのですが、

残念ながら伝えられない状況にあります。


このエピソードの後、私が小学1年生のころに父と母は離婚。

私は母に引き取られ、その後母が再婚。

継父には実の娘のように育ててもらいました。

私が成人して数年後、

実父が他界したとの知らせがありました。


母が離婚した時点で、

実の父がいた頃の話は、なんとなく出来なくなっていましたし、

これからもすることはないと思います。

そして、あの時に伝えたかった相手のうち一人には、

どう頑張っても会えません。


だからこんなところにこんなことを書いているのかもしれません。


子どもの頃の話なので、言語的発達の壁もあり、

後悔しようもないのですが、

想像力を働かせることはとても大切だなと思いました。

大切な人とのコミュニケーション、大事にしていきましょう。



今朝のトーストは、

いい感じにバター(マーガリンから昇格)が溶けてて、

あの時に食べたかったトーストになっていました。



お読みくださりありがとうございました。



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