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サポーター3年生からの日本のサポ論 日本のサポーター論の入口

「サポーター」という単語は日常生活に、すっかり馴染んでいる。スタジアムでサッカーチームを応援する観客がサポーターであるだけではなく、例えば東京都建設局河川部計画課による「隅田川サポーター」、文部科学省による「子どもの読書サポーターズ会議」といった自治体や国が運営する組織の正式名称にまで使用されている。この「サポーター」という単語が日本全国に広がったのは1993年。つまり今からちょうど四半世紀前の今日1993年5月15日にJリーグは開幕した。

「サポーター」という単語は「第10回 現代用語の基礎知識 新語・流行語大賞」において新語部門・金賞を獲得した。

受賞者は三浦知良夫人である設楽りさ子さん。受賞理由は以下のようになっている。

「1993年秋、日本サッカーは“ドーハの悲劇”によって夢破れ、ワールドカップ初出場は果たせなかった。しかし、ドーハまで出かけ、選手たちとともに「12人目のプレイヤー」として頑張ったのが「サポーター」たちだ。Jリーグが導入した「サポーター」は、いままでスポーツを「見る」「する」と大別していたものを、「見る」だけの観客ではなく、チームを「支える」観客へと変質させた画期的なものである。受賞者は、サポーター代表として、ドーハにも同行した三浦選手夫人である。」

「サポーター」とは何なのか?「応援団」とは違うのか?当時のメディアは「サポーター」に注目した。

しかし「サポーター」という単語は、さらに昔、1970年代末に日本サッカー界には出現していた。

日本で最初に「サポーター」という単語を使ったのは東京12チャンネル(現・テレビ東京)の金子勝彦アナウンサーだといわれている。

「JFA・Jリーグ サッカー用語集」では、サポーターとファンの定義をこのように記している。

サポーター(Supporter)
熱狂的なサッカーファン、特定のクラブ・チームを支持する支援者。

ファン(Fan)
一般的な愛好家を「ファン」と呼ぶ。

「熱狂的」とは何か?その解釈をめぐって、日本各地でサポ論(サポーター論)が発生してきた。なお、デズモンド・モリスの著書「サッカー人間学」(原題「The Soccer Tribeサッカー部族」)にはサポーターという単語は登場しない。全てがファンと表現されている。

本書では、サポーターを対象としたアンケート調査を活用しながら、サポーターとは何者なのか、サポーターの応援とは何なのかを解明していく。しかし、結論を一つに絞り込むことは極力避けている。なぜなら、これから紹介するアンケート調査結果からも分かる通り、サポーターと一口に言っても、実際は多種多様な人間の集合体であって、同じクラブのゴール裏サポーターの中にもたくさんの考え方を持った人物が存在する。

サポーター3年生からの日本のサポ論では、多様性を尊重しながら、サポーターの具体像を明らかにすることに挑戦しています。

先行して発売済みの「日本のサポーター史」もよろしくお願いします。



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