九龍ジョーさんのはなし
荒井裕樹さんの「障害者ってだれのこと?」という、中学生向けの本に書かれていた話。
この本は、中学生にわかるように書かれているので、とても分かりやすいですが、もしかしたら、中学生よりずっと賢い大人の人には難しいかもしれない本です。
九龍さんが介助をしていた、重度の身体障害の方とのやり取りです。
彼はとても有名な方で、歩くことができないため車イスを使用していました。
彼は、室内では車イスを使わず、ずりずり移動していました。
ずりずり進む彼の前には大きな荷物がありました。
その時、九龍さんは、何気なく、荷物をどかしたんだそうです。
ごく自然なことだと思います。
荷物邪魔ですからね。
その瞬間、彼はひどく怒ったそうです。
「なんで勝手にどかしたんだ。」
わかります。彼は自分の意思と関係なく、勝手に(良かれと思って)荷物をどかされたから怒りました。
普通の?障害者なら、気を使って、
「ありがとうございます。」と言うでしょう。
せっかく、健常者の方が、荷物をどかしてくださったのだから。
健常者に好かれる障害者の態度ですね。
でも、障害者の彼としたら、自分で
「この荷物どかしてほしい」って言いたかったのじゃないだろうか。
それとも、その荷物の手前まで行きたかっただけだから、荷物の存在はどうでもよかったのかもしれないし。
あるいは、その荷物のところから、折り返すつもりだったかもしれない。
こういうことって、私も日常的よくあります。
先回りしておせっかいしてしまうと、余計なことをしてくれたねっという感じで、長女は機嫌が悪くなる。
おせっかいと親切と余計なお世話と先取りの行動は、結局、介助するほうの気持ちの問題。
やっぱり、本人の行動や気持ちを待つということが、一番難しい。
余計な話ですが、私香港映画が大好きなので、九龍城を見てみたいくらいに関心があったんです。もう取り壊されたんですが。
魔窟とも、迷宮ともいわれた九龍城。
それなのに、先に、九龍ジョーってペンネーム付けられてしまった。
素敵なセンスをしている方だと思います。
会ったことないけど。
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