見出し画像

究極のインクルージョンこれからの介護

月に一度の神経内科の受診の日。
待合室の人たちを見て、自分の受診を待っている。
一人で来ている人もいるが、付き添いの人と来ている人も多い。
家族が付き添う場合もあれば、ヘルパーさんが付き添う場合もある。
私も長女の受診の時は付き添いで来ている。

一人暮らしで、ケアが必要な人であれば、ヘルパーさんの出番だ。
だけど、最近は高齢者福祉でも障害者福祉でも、とにかく人手不足で、ヘルパーさんが足りない。
では、将来の見通しはどうかというと、さらにヘルパー不足になるのは目に見えている。

じゃあ、どうしたらいいの?っていうことなんだけど、もう福祉業界とか、行政とかに、期待するのはやめよう。って思った。
だって、無理だから。
今だって、無理を承知で「安い賃金」で、「人の善意」に甘えて、責任をなすりつけ、ヘルパーさんを雑巾のように使い捨てにしているこの国には期待できない。
私だって、もう二度と、福祉の仕事なんてやりたくないよ。
こんなふうに、思ってしまう福祉のやり方。根本的にやめてしまおう。

むかし、イタリアで医療財政が逼迫して行き詰まり、精神科病院を廃止したように。
かつて、財政困難に陥ったイギリスで、障害学がうまれたように。
行き詰ったところに新しい道を作るのだ。

どんなやり方があるだろうか・・・
私なりに考えてみた。

今後高齢化がさらに進み、医療の発達で死ぬ人が減り、しかし、障害者が増えるとすると、国民の半分くらいはケアが必要な人となる。
しかし、フルタイムで介護職をしても食べていけないし、精神的に追い詰められ、メンタルに問題をきたすようなやり方では介護はしない。
だって、あまりにも、介護職残酷物語だから。

じゃ、どうするの?
それは、みんなができる範囲で、みんなで介護をすればいいのではないかしら。
チョコザップのCMみたいに、自分の都合のいい時間、自分が行ける範囲の地域で、普段着で、自分ができる介護をすればいいのです。

たとえば、車の免許を返納していないじいさんなら、通院介助とか、買物支援とか。
料理が得意なお兄さんなら、自分の分の弁当を作るついでに、もう一つ作って、一人暮らしのばあさんにお届けする。
歩くのが不自由だけど、人の話は聞くことができるって人は、傾聴とか。

私みたいに、介護経験豊富な人は、赤ちゃんからじいさんばあさんのお風呂入れるとか、おむつ変えるとか。
だけど、一日中は嫌だ。ちょっとだけならいいけどね。

ヘルパーステーションの代わりに、スマホとタブレットを活用して、小さい単位での地域ごとに、取りまとめ役さんが、どこのうちにどんな介護が必要だとかチェックして、タクシーアプリみたいに、どこに何ができる人がいるか登録してもらって、必要な人手を送り込む。

それには、基本的にきちんとした地域ごとの情報システムを起動させないとならないから、引きこもりだけど、やたらITに強いなんて人を引っ張り出してきて、大活躍させて働かせてしまおう。
昼夜逆転生活してるから、夜の見守りはできるよとか。
まあ、普通に考えたら、戦力外の人たちに大活躍してもらおう。
引きこもりの中高年が親の介護の必要によって、大活躍始めた例をたくさんみてきた。

しかし、ここは埋もれた専門家集団にも、出てきてもらいたい。
じつは、介護士だのヘルパーだの看護師だの、専門の資格を持っているにもかかわらず、働いていない人はものすごおく多いのだ。
なぜって、それは、今の日本での看護師や、介護士の仕事の仕方が、あまりにも酷すぎて、燃え尽きたり、人間関係、パワハラ、セクハラ、いじめで、やめざるを得なかった人が山のようにいるからなのだ。
もったいない。
でも、事業所だの、管理者だの、サ責だの、主任だのがいない働き方であったら、直接利用者さんと向き合うことが得意な人は働ける。

何歳でも、70歳でも80歳でも、自分のできるところの仕事だけすればいいですよということなら、誰だって働ける
障害のある人もない人も、高齢者も若い人も、子どもがいる人も、妊娠中の人も、病気の人も、その人のできることなら、誰だって働ける。
現場で困ったことが起きたら、経験豊富なアドバイザーにテレビ電話で相談する。
「これって褥瘡ですかね。写すのでちょっとみてください。」
「あ、そうですね、訪問看護師に連絡しときますね。」みたいにね。
不安は、すぐ、質問できるシステムで。

責任は人になすりつけない。
お互い様の精神で行こう。
ケアしている人が失敗しても、責めないで、成長の機会をつくろう。
こうやって、少しずつ介護にかかわっていれば、親が倒れてもあたふたしない。もはや、みんな介護のベテランだから。

だから、人類全部にケアが必要になっても、人類みんなでケアをするから、大丈夫、生き延びることは出来るよ。
ケアする人も、ケアされる人も。みんな一緒。

わっ。これすごいかも。
究極のインクルージョンではありませんか。

問題は、どうやって、このやり方を展開していくかだ。


潜水服は蝶の夢を見る
ジュリアンシュナーベル監督

よろしければ、サポートお願いします。老障介護の活動費、障害学の研究費に使わせていただきます。