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自閉という言葉による偏見


この記事を読んで、色々と思うところがありました(個人的な感想であり、自分の臨床的への姿勢に対する意見です)。

この子と子犬が友達になれたことはとても良いことだと思いますし、いろんなことをそこから学ぶことでしょう。


            成長とともに変わる自閉症の特徴

ただ、この記事からはいつくか疑問が生じます。まず、一つは自閉症のお子さんたちの特徴は年齢とともに変わるということです。まるで自閉症のお子さんたちがずっと話すことができないかのような雰囲気で書かれていますが、3歳過ぎから話し始める子がいることも事実です。ちょうどその頃に子犬を飼ったということかもしれません。これだけは誰にもわからないでしょう。

         自閉症という言葉からの偏見

「1歳になっても言葉が出ずに自分の殻に閉じこもり、・・・」と書かれています。ニュースの題名も「殻にこもった自閉症児の人生を変えた1匹の犬(英)<動画あり>」となっていますが、自閉症という言葉からそう思ったのか、原文でもそう書かれているかは分かりませんが、自分の殻に閉じこもるというのは誤解を招きそうな表現です。

 彼らの内的な世界は豊かですが、別に閉じこもっているわけではありません。言語的なコミュニケーションに重きを置いていないことが多いだけで、視覚的なことも含めて感覚的なことにはとても関心が強いことも多いです。今回の子犬の話もどれくらいコミュニケーションが成立しているのかは分かりませんが、3歳ぐらいの自閉症のお子さんが突如として話し始め、ひたすら話すようになることもあります。言語発達に遅れのない自閉症であるアスペルガー障害(今は使わなくなってきた診断名です)という診断を受けたお子さんの中にも3歳過ぎから話し始めた子もいるでしょう。なぜ3歳ぐらいかと言われると困ってしまうのですが、それぐらいが多い臨床的な印象です。そのような調査がないか調べてみたいと思います。

 このようなペットとの交流やこのプロジェクト自体は良い取り組みだと思いますし、いろんな可能性を試していくことは良いと思います。取り組みや出来事よりも記事を書いた人の科学的なリテラシーがどれくらいあるのかということが一番の疑問と考えた次第です。

子どもの成長を願う親の苦労や関わり方、そしてその行動力に共感し、エンパワーしていくことが大事だと思いますが、題名に「殻にこもった自閉症児・・」とつけてしまっては台無しのように思います。

自閉症の子どもたちは殻に閉じこもっているわけではなく、コミュニケーションする方法が独特なことが多いです。その独自なコミュニケーションをこちら側も大事にすると同時によく理解して関わることが大事ではないでしょうか。




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