見出し画像

タッチスクリーンは幼児の集中力の発達に悪い??

Scientific Reportsにこんな論文がありました。

Portugal AM, et al. Sci Rep. 2021 Jan 26. 

対象:2015年10月〜2016年3月にかけて、スクリーンタイムが異なる生後12カ月の乳児

追跡:2.5年

方法:生後12、18カ月時、および3.5歳時に、コンピューターを使った課題を行わせ、集中力を評価した。
課題:スクリーン上のさまざまな場所に現れた物体に、幼児がどれだけ速く注目するかと、どれだけ巧みにその物体を無視できるかを測定するものだった。G O  No-Goタスクでしょう。
タッチスクリーンの使用頻度:12カ月時では1日10分以上、18カ月時と3.5歳時では1日15分以上使用していた場合を「タッチスクリーンをよく使用する」と定義
解析:試験開始時から追跡期間の間にタッチスクリーンの使用頻度が変わらなかった幼児40人(よく使う幼児26人、あまり使わない幼児14人)が組み入れられた。
結果:タッチスクリーンをよく使う幼児では、あまり使わない幼児に比べて、スクリーン上に現れたオブジェクトにより速く目を向け、また、気を散らすオブジェクトを無視できないことが明らかになった。

こんな論文を短絡的に解釈すると、すぐにゲームが悪いとか携帯が悪影響だという結論に持っていかれそうです。こどものデジタルデバイスを悪影響だという結論に導きたい大人がある一定数いるように思います。スクリーン上の気を散らす対象という実験方法がどれくらい実生活にリンクしているかは不明です。また、元来、集中力のない子どもはこのようなタスクを苦手とするでしょう。そういった点では鶏か卵か難しいところです。

今後、デジタルデバイスがない生活に戻ることはないでしょう。特に子どもたちはこれから生きていく時間がとても長いです。デジタル技術は最も進化していきます。私たち大人よりもより柔軟に、そして上手にデジタルデバイスを使いこなしていくでしょう。今はデジテルデバイスを使うことの影響を調べた研究ばかりですが、いつかデジタルデバイスを使わないと脳が退化するような研究も出てくるかもしれませんね。






この記事が参加している募集