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児童精神科医の気になる論文たち

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玉石金剛な医学論文の世界。児童精神科医を20年やってきて、気になる論文をチェックしていきたいと思います。読み込みが浅く、間違いがあればコメントで指摘してもらえると助かります。みん…
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#子ども

ゲームが大好き

ゲームへの没頭はASD性よりもADHD性の方が優位と言われることが多いです。報酬系回路との関係性が高いのでしょう。 以下の論文はそんなことを示唆している論文です。 ・ADHDでは、ゲームに関してより依存性が高く、長時間プレイしていた。 ・ADHD症状の重症度とビデオゲームの使用に相関が認められた。 ・重度のADHD児は、依存性スコアが有意に高く、その性別とADHDとの組み合わせがビデオゲームの過度な使用に影響していた。 すなわち、ADHD症状とゲーム依存への関係性が改め

ファイザー製ワクチンは2回打つ必要があるのか

Eric J Haas, et al. Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using nationa

COVID-19の感染リスク

こういう生活の基本に注目した論文は面白いし、臨床的にも有用であると思っています。 https://thorax.bmj.com/content/early/2021/03/30/thoraxjnl-2020-216651 この論文は、英国のバイオバンクに2006年から2010年に登録された50万2,540例(登録時40~69歳)のデータを用いて、交代勤務がCOVID-19に及ぼす影響を検討した。検討の結果、検査を受けた6,442例のうち498例が陽性だった。陽性者のうち9

変異株の猛威に

英国で南アフリカで確認された変異株と南アフリカで確認された変異株がカタールで優勢の状況の中で、ファイザー製ワクチンは感染および重症化に対して有効であったとまとめている。ただし、とくに南アフリカで確認された変異株に対する有効率は同ワクチンの臨床試験やイスラエル・米国からの実社会での報告よりも約20%低かったという。 https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2104974 これから考えるに、やはりワクチン接種は進めていくべきでしょう。しかし

ジスキネジア新治療法の発見

これは面白い研究であり、今ある薬剤を使ったとても臨床的な研究かと思います。 https://research-er.jp/articles/view/98491 長期に抗精神病薬を飲んでジスキネジアに悩まれている方はたくさんいるのではないでしょか。その副作用と薬剤の継続に悩まれている臨床医もいるでしょう。 この知見が臨床の現場に光を差しえてくれればと思うところです。 こういったビックデータの使い方は素晴らしいと思います。みんなの力を合わせてビックデータを使っっていけば

子どもの医療への影響

コロナは様々な分野、年代、環境、状況に影響を与えています。医療業界では小児科領域には多大な影響を与えていると言えるでしょう。 児童精神科も子どもを相手にした仕事です。その影響を受けると言えます。 様々なニュースがある中で、新型コロナウイルス感染症対策の中枢と言える国立国際医療研究センターからの報告があります。 やはり児童精神科の外来受診者数は減少しているようです。その一方で摂食障害が急増していると書かれています。結果として医療経済的にも厳しい現状となっているようです。

ADHDと血圧

ADHDと血圧に関する珍しい論文を見つけました。ADHDは児童思春期において最も多く認める精神疾患です。 一方で、ADHDの基本的な病態生理はわかっていない点も多い一方で、子どもはさまざまな身体的な変化によっても、落ち着きを失うことがあります。 体と心が繋がっていることは間違い無いでしょうし、CBTでもそのような理論で展開されています。ADHDのように行動上の特徴で規定された疾患は、その影響を直接的に受けることになるでしょう。 今回の論文は、ドイツの健康調査(KiGGS

AZ製ワクチン、英国型変異株に有効率70.4%

ファイザー製のワクチンが最高みたいな風潮になっていますが、AZ製の効果はどうなんでしょうか? この論文では・・新型コロナワクチンについて、COVID-19の変異株に対する臨床的有効率は70.4%で有効であることが示された。 この研究は18歳以上のボランティア(8,534例)を登録して行われ、被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはCOVID-19ワクチンが、もう一方の対照群には髄膜炎菌結合型ワクチンが投与され、上気道スワブ検査を毎週実施、または咳や37.8度以上の発熱

再感染も気になるところです。

Lancetが続けて有意義なCOVID-19に関する論文を出してくれています。COVID-19からの回復者に再感染の保護効果があるのかについては大きな問いでした。 そのうちの一つが以下です。 Victoria Jane Hall, FFPH *,Sarah Foulkes, MSc *,Andre Charlett, PhD,Ana Atti, MSc,Edward J M Monk, MSc,Ruth Simmons, PhD,et al. SARS-CoV-2 inf

神経刺激薬のことですね。

治療用覚醒剤って響きがすごいですが、抗ADHD薬の神経刺激薬として私たちが使っているコンサータやビバンセもこれに属するものでしょう。おそらく、アデロールに関してのコメントなのでしょうが、治療場必要なものであれば許可する必要があると思います。 私たちも診療をしているとスポーツがみるみる上達して大会に出るようになる子がたまにいますが、その際に抗ADHD薬をどう使うかの議論になることがあります。 やはり、抗ADHD薬の効果として集中力は上がります。どんなスポーツでも集中力はあっ

不妊症女性のうつ病有病率

興味深いメタ解析です。不妊は人生計画にとって大きな問題であり、女性だけでなく、男性も深刻に捉えていくべき問題でしょう。今回は女性側の負担も大きい不妊治療における女性のメンタルヘルスに関する論文です。またまた、メタ解析ですね。話はそれますが、メタ解析ばかりチヤホヤされて、コツコツと臨床研究をしている結果をうまく使われ、そちらの方がより脚光を浴びるという仕組みは科学の正当性から仕方がないところもありますが、なんだかなって思います。 この論文の要旨は以下です。 32件をメタ解析

いよいよワクチンが・・

いよいよワクチンが回ってくるようです。医療機関の中でもCOVID-19対応を積極的にしているところや大学病院、もしくは公立病院ですでに二度受けたという話は聞いています。私はやっと1回目が来週以降に受けられそうです。痛いとか、発熱とか、色々と噂がありますが、きちんと摂取したいと思います。 ワクチン打ったら、飲み会しようって話をきたりもしますが、とてもそんなことはできなでしょう。厚労省がしたとしても、現場の医療者はとてもできない話だと思います。 ワクチンだけでは解決しないCO

教師と親では評価が違う

これはよく知られていることでしょうし、肌感覚でもそう思うでしょうけど、教師と親では子どもの評価が異なることはよく指摘されています。それはADHDだけに限ったことではありません。この論文ではADHDの診断を確実にするための予測因子として両者の評価を検討しています。 この論文の結論的には、どちらも同程度ということになりました。僕の予想とは違っていたということです。これはADHDという行動に特化した疾患だから起きたのでしょうか。ADHD-RSというスケールを使ったからであり、情緒

COVID-19で影響を受けた子どものメンタルヘルスの問題

f日本には児童精神科が少ないとよく指摘されますが、いろんな活動をしているところがあるようです。研修会なども開催しており、世の中にもっと児童精神科医が増えると良いなと思います。医学生たちの研修を引き受けたりしているようですね。 コロナ関係の論文も出しているようです。この中に興味深いことが書いてありました。 摂食障害が世界中で急増しているとのことで、この病院でも感染拡大前より2倍越え。入院施設が限られているので、児童精神科病棟は数少ないので、この急増が感染拡大とは別のルートで