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児童精神科医の気になる論文たち

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玉石金剛な医学論文の世界。児童精神科医を20年やってきて、気になる論文をチェックしていきたいと思います。読み込みが浅く、間違いがあればコメントで指摘してもらえると助かります。みん…
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#COVID19

NEJM オリンピック参加者をCOVID-19から守るために - リスクマネジメントのアプローチが急務

NEJMがIOC の対応をけちょんけちょんに指摘しています。政治家もエビデンスとかすぐにいうけど、エビデンスにもレベルがあるし、その使い方を間違えていたら意味がない。 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2108567 例えば、 公衆衛生の重視については、NEJMは「選手会、競技団体、専門家を含むCovid-19諮問委員会を設置し、発生時に迅速に対応できるプランBを用意する。」と指摘していますが、IOCは「選手会の関与な

ワクチンは無症状の人たちにも必要

Lancetの論文です。 ファイザー製のワクチンが症状の有無にかかわらず、その感染を予防できることがわかってきました。  この研究は英国の公立病院で働くスタッフ(18歳以上)を対象とした前向きコホート研究です。さらに特筆すべきは、英国の変異株流行時にワクチン接種されており、この変異株に対しても有効性を示していたことでしょう。 毎日外来ばかりしていますが、肌感覚では変異株の登場で、新型コロナウイルス感染症の新型という印象を受けています。子どもたちへの広がりがすごい印象です

ファイザー製ワクチンは2回打つ必要があるのか

Eric J Haas, et al. Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using nationa

COVID-19の感染リスク

こういう生活の基本に注目した論文は面白いし、臨床的にも有用であると思っています。 https://thorax.bmj.com/content/early/2021/03/30/thoraxjnl-2020-216651 この論文は、英国のバイオバンクに2006年から2010年に登録された50万2,540例(登録時40~69歳)のデータを用いて、交代勤務がCOVID-19に及ぼす影響を検討した。検討の結果、検査を受けた6,442例のうち498例が陽性だった。陽性者のうち9

変異株の猛威に

英国で南アフリカで確認された変異株と南アフリカで確認された変異株がカタールで優勢の状況の中で、ファイザー製ワクチンは感染および重症化に対して有効であったとまとめている。ただし、とくに南アフリカで確認された変異株に対する有効率は同ワクチンの臨床試験やイスラエル・米国からの実社会での報告よりも約20%低かったという。 https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2104974 これから考えるに、やはりワクチン接種は進めていくべきでしょう。しかし

子どもの医療への影響

コロナは様々な分野、年代、環境、状況に影響を与えています。医療業界では小児科領域には多大な影響を与えていると言えるでしょう。 児童精神科も子どもを相手にした仕事です。その影響を受けると言えます。 様々なニュースがある中で、新型コロナウイルス感染症対策の中枢と言える国立国際医療研究センターからの報告があります。 やはり児童精神科の外来受診者数は減少しているようです。その一方で摂食障害が急増していると書かれています。結果として医療経済的にも厳しい現状となっているようです。

歩く速さとCOVID-19の重症化が関連?

COVID関連の情報が次々とアップデートされていきます。おそらく多くの科学者が新たなデータを出すことで論文の業績を大幅に増やすチャンスと考えているのでしょう。  イギリスから、歩く速さとCOVID-19の重症化リスクに関連があるとする論文が出てきました。 中高年者対象の大規模前向きコホート研究 2020年3月16日~8月24日 登録データ41万2,596人 (年齢中央値68歳、普通体重33.7%、過体重42.9%、肥満23.9%)。 2020年8月24日までに、重症

AZ製ワクチン、英国型変異株に有効率70.4%

ファイザー製のワクチンが最高みたいな風潮になっていますが、AZ製の効果はどうなんでしょうか? この論文では・・新型コロナワクチンについて、COVID-19の変異株に対する臨床的有効率は70.4%で有効であることが示された。 この研究は18歳以上のボランティア(8,534例)を登録して行われ、被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはCOVID-19ワクチンが、もう一方の対照群には髄膜炎菌結合型ワクチンが投与され、上気道スワブ検査を毎週実施、または咳や37.8度以上の発熱

再感染も気になるところです。

Lancetが続けて有意義なCOVID-19に関する論文を出してくれています。COVID-19からの回復者に再感染の保護効果があるのかについては大きな問いでした。 そのうちの一つが以下です。 Victoria Jane Hall, FFPH *,Sarah Foulkes, MSc *,Andre Charlett, PhD,Ana Atti, MSc,Edward J M Monk, MSc,Ruth Simmons, PhD,et al. SARS-CoV-2 inf

COVID-19の凄さ

面白い論文を見つけました。COVID-19の変異株に関するものです。日本でも猛威を奮っており、いよいよ身近な問題となってきました。改めてCOVID-19について少し勉強しておきたいと思います。 要旨 現在進行中のCOVID-19の影響を軽減するための抗ウイルス治療法の開発に注力している。そのためには、感染した宿主におけるウイルスの動態をより深く理解する必要がある。 本研究結果から、COVID-19。中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)を分析した

いよいよワクチンが・・

いよいよワクチンが回ってくるようです。医療機関の中でもCOVID-19対応を積極的にしているところや大学病院、もしくは公立病院ですでに二度受けたという話は聞いています。私はやっと1回目が来週以降に受けられそうです。痛いとか、発熱とか、色々と噂がありますが、きちんと摂取したいと思います。 ワクチン打ったら、飲み会しようって話をきたりもしますが、とてもそんなことはできなでしょう。厚労省がしたとしても、現場の医療者はとてもできない話だと思います。 ワクチンだけでは解決しないCO

花粉→くしゃみ→COVID-19感染拡大?

花粉症の季節がやってきました。同時にCOVID-19の第4波が懸念されています。しかしながら、花粉症とコロナの関係については全く議論がされていないように思えますが、そんな時に以下の論文が出てきました。 内容はというと、花粉との共同曝露は、アレルギーの有無にかかわらず、ウイルス感染症の感受性を高め、これはCOVID-19にも当てはまるのではないかという疑問から始まっています。 COVID-19と花粉濃度の関係を、湿度、気温、人口密度、ロックダウン効果と併せて検証した。このデ

COVID-19と喘息の関係

新しい知見が日々出てきますね。喘息持ちのお子様がいる家庭はとても気になっていることではないでしょうか。こういったデータを解析できるのもビックデータやレジストリと呼ばれる成果なのだと思います。素晴らしいですね。 内容を見てみますと、査読前のオンラインアーカイブおよびWHOのCOVID-19データベースを含む2020年5月26日までに発表されたCOVID-19と喘息に関する研究をレビューし、58万7,280例を含む57件を特定した。SARS-CoV-2陽性者は34万9,592例

日本でCOVID-19の在宅期間が神経発達障害児とその保護者のQOL(生活の質)にどのような影響を与えているか

貴重な論文が一つ出ました。日本の子どもの発達障害のQOLと親との関係性をCOVID-19の期間で検討した論文でです。今まで海外の論文ばかりで日本の子どもの話がほとんどありませんでした。やっと日本の子どものデータを扱う時代に突入してきたと言えるでしょう。時折、ネット・ニュースなどで出てくる情報は、対象があまりに不特定で研究とは言い難い情報でしたので、より科学性の高い結果が今後もっと出てくるでしょう。 こういった想定できる結果をちゃんと出してくれることが大事です。憶測や個人の感