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自社ECサイトに必要なこと①

ご挨拶

本記事にアクセス頂きありがとうございます。

このnoteでは、主に食関連のご商売を営む方々に向けて、インターネット通販(EC)による販売活動の成功に必要な考え方やスキルを発信していきます。
時代背景、考え方、マーケティング、実践的スキルにいたるまで、実用的な情報を複数回に分けて配信します。


このアカウントについて

このnoteアカウントは、三重県雇用経済部中小企業・サービス産業振興課による委託事業である『インターネット通販サイト販売促進支援事業』にて運用されています。

三重県内の食関連事業者の皆様が、今後効果的にインターネットを活用した販売活動を進めるうえで役に立つ情報を発信していきます。

さて、今回からは、これまでご紹介してきたマーケティングの知識、コンテンツの知識を踏まえたまとめとして、「自社ECサイトに必要なこと」を2回に分けてお伝えしていきます。


会社のWEBマーケティング戦略でよくある失敗

最近では、オンラインを活用した販売戦略が一般化しています。そんな中で、各社がウェブマーケティングやECサイト、SNS等の運用強化を目論んでいます。「うちの会社もなにか手を打たなくては!」ということで、次のような施策を展開している事業者様も多いのではないでしょうか。

とにかくホームページを作ろう・変えようとする
SEO(※)対策会社の術中にハマる (※)検索エンジンからサイトに訪れる人を増やすことで、Webサイトの成果を向上させる施策のこと


リスティング広告(※)に手を出す (※)リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果にユーザーが検索したキーワード(検索語句)に連動して掲載される広告
SEO対策・リスティング広告予算が効果の割に高く感じる
ブログやSNSをやってみる  など

いずれの取り組みも、やり方次第ではウェブマーケティングの手段としては有効であり、当然ですが必ずしも全てが否定されるものではありません。ただし、特にご注目頂きたいのは「どれも中途半端で効果がでない」ケースもまた多いということです。
では、ウェブ領域でのマーケティング活動を強化するために、せっかく複数の施策を検討し、外部の専門家にお金さえ投じているのに、どうしてうまくいかないのでしょうか。

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本noteでこれまでもお伝えしてきたことですが、広大なインターネット空間で存在感を発揮し、選ばれるブランドとしてのポジションを確立するためには「質の高いコンテンツを発信すること」「継続すること」の2つが特に重要です。これが、よくある失敗とどのようにつながるのでしょうか。


①質の高いコンテンツを発信すること

これは、全くノウハウを持たない自社で対応するよりも、外部の専門家を活用することで質の高いものが出来上がる(可能性がある)ことを、皆様もよく理解されていると思います。自社の宣材写真や動画は、自前で撮影するものとは、クオリティが異なるようにも見えるでしょう。質の高さを担保するためには外部の専門家が一定程度有効であることは、ある意味で正しいと言えるでしょう。

しかし、その外部の専門家にコンテンツ制作を発注をするのは事業者の皆様の方です。
「何を」「誰に(ターゲット)」「どのように」伝えたいのか、きちんと外部の専門家と皆様の「目標や目線が重なる」ためのコミニュケーションを怠ってしまうと、
せっかく作ったコンテンツがターゲットには響かないものになってしまいます。

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②継続すること

インターネット空間で、自社ブランドのターゲットに働きかけるには、「何度も」「しつこく」アプローチすることが極めて重要です。膨大な情報の中で自社を見つけてもらうため、忙しいターゲットの日々の時間の中で自社を選んでもらうためにも、発信する内容やコンセプトに一貫性のある情報を内包し続けることが必要です。
しかし、長い期間にわたる発信「コンテンツの制作」を果たして外部に委託し続けることは、現実的に可能でしょうか。無論、大資本の大手企業は可能でしょう。膨大な広告予算と潤沢な人的資源を投じることで、外部の専門家による「質の高いコンテンツ」を「継続すること」で成果を上げているでしょう。

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一方、知名度や商品力・資金力などの経営資源に(大手ほどは)恵まれない小さな会社は、他人任せの戦術だけで、業績に好影響を与えるだけの成果改善が見込まれるでしょうか。一概には言えませんが、おそらく特に「継続」という面で早晩難しい状況に直面するでしょう。

なので、リスティング広告、SEO対策、SNS運用等、いずれにも言えることですが、基本的に必要なことは「自分たち自身がノウハウをある程度習得し、自走して継続する」ことになります。自走できることにより、成果が出るまで継続することが可能となります。この意識が前提として必要となるでしょう。

ECを育てることはリアル店舗を育てることと同じ熱量で

さて、ウェブマーケティングを実践していくためには、自走して継続することが必要であることをお伝えしました。そこで、次に考えるべきは、「魅力的な売場をどうつくるか」ということです。

考えてみましょう。皆様の取り扱う商品(食品)は、大変なこだわりを持って作られたものではないでしょうか。より多くのお客様に喜んで頂けるように、丁寧な仕事を経て作られたものではないでしょうか。

続いて、その商品(食品)を販売する店舗について考えてみましょう。自前のリアル店舗をお持ちの方は、自分たちの商品(食品)がよりポジティブな印象でお客様に届くように、清掃は勿論、空間のデザイン、レイアウト等、多方面にわたり気を使いながら、丁寧に店舗設計されていることでしょう。

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では、皆様のECサイトはどうでしょうか。自分たちの商品(食品)がどのようなこだわりを持って作られたものか、説明されているでしょうか。自分たちのブランドコンセプトが伝わる情報が組み込まれているでしょうか。買い物をする動線は整っていて、スムーズでしょうか。外国のお客様には情報が伝わるでしょうか。

このように考えていくと、リアル店舗と比較して、ECの設計については検討が不十分であることに気づく事もあります。今後、ECサイトを通じて、多くのお客様に自社商品を販売していこうと思うと、リアル店舗の設計と同様に、あるいは自社商品(食品)の開発と同様に、熱量を注ぐことが必要です。


ECサイトにおける2つの課題

これまでの議論と重複する部分もありますが、自社のECサイトの魅力度向上に向けては、大きく「集客」「売場づくり」という2つの課題について考える必要があります。そして、これら2つの課題は分けて考えることはできません。両者を一元的に考えていくことが必要です。

①集客

集客は、自社のECサイトに如何に多くの人にアクセスしてもらうか、という論点です。これまでにも解説してきた通り、マーケティングの技術や、SNSでの発信と組合せながら、どれだけECサイトに流入してもらうかが重要となります。そして、そのために必要なことは「絶え間ない発信・更新」であることを繰り返しお伝えしています。

商売をするうえで、集客がなくては始まらないと言っても過言ではありません。お客様があってはじめて売上が成立するのです。では、集客に必要な要素はなんでしょうか。
根本的に必要なものは「面白い」「価値のある」コンテンツであると言えます
何か魔法のような仕組みがあってお客様が集まる、と言うものではありません。
お客様にとって、メリットがある情報がそこにあるから「集まる」。
集客の良いECサイトが用意すべきものはただそれだけなのです。

ECサイトを作ってはいたけれど、全然人が集まらない。
売上も上がらない。
歯に絹をきせずに言ってしまえば、それはそのサイト自体が「つまらなくて」「価値がない」とお客様に判断されてしまっている、と言うことです。
もしくは、そのサイトに誘導するためのSNSやHPなどのデジタルコンテンツもやはり、「つまらなくて」「価値がない」と判断されている、と言うことです。

面白い、綺麗、役に立つ、かっこいい、お得…。

お客様にとって「価値のある情報」は実に様々ですが、確実に言えることは「価値がないものは相手にされない」ということです。だからこそ、お客様にとって喜ばれる、興味を持ってもらえるコンテンツを発信することでしか集客は実現しないのです。

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質の高い情報については過去のnoteでも記述していますので、
改めてご確認くださいませ。

②売り場づくり

売り場づくりは、集客を売上という成果に結びつけるために必要な要素です。仮に、とても沢山のお客様が自社のECサイトにアクセスしたとしても、「そもそも買いたいものが無かった」「期待していたものと違った」ということがある場合、せっかくの集客を無駄にしてしまうことになります。
そのために、最適な売り場づくりの設計を目指すことになります。ただし、「完璧な売場」などという解は存在しません。試行錯誤を繰り返しながら、「絶え間ない提案・更新」の中で、少しずつ改善していく姿勢がなによりも大切です。

加えて、ECサイトの売上を維持拡大させるためには、時代に合わせて常に更新していく姿勢が大切です。ただし、これはECサイトに限った話ではありません。リアル店舗を思い浮かべて頂くと、季節ごとのレイアウト変更や、陳列棚に並ぶ商品ラインナップ等も、頻繁に変更されていることでしょう。時代、季節、キャンペーン等に合わせて最適な売り場を目指すべく、常に変化していくことは、お客様との接点づくりにおいて欠かせない要素なのです。

皆様は、ECサイトの運用を検討する際に「集客」「売り場づくり」の問題を整理して考えられているでしょうか。打とうとしている施策がいずれの課題解決に繋がるものなのかを適切に把握できなければ、改善効率は低下してしまいます。自分たちの改善すべきは「集客」「売り場づくり」いずれなのかを明確化したうえで、施策の効果を検証していくことが必要でしょう。

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ECで売るということは「小売業」になるということ

これからECサイトを本格化しようと考えている事業者様の多くは、モノを作る製造業であることが多いと思います。ただし、ECサイトを用いる場合、小売業の考え方、行動を取り入れることを避けては通れません
今までとは異なる事業領域にしっかりと目を向ける必要があります。

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小売業は、商流上お客様との距離がとても近い存在です。そして、お客様のニーズや嗜好は常に変化するものです、まるで生物のように。その変化に追従するためには、対応できる柔軟さが求められることになります。では、その柔軟さはどうやって手に入れられるのでしょうか。

ずばり、「自分で一通り全てのことをやって見ること」「そこで起こる問題を自分の力で解決すること」がその答えとなります。
つまり、前述もしましたが、
何をするにしても「自走できる状態をつくること」こそが、最も適切で究極的な対応策と言えるのです。
これほど変化が激しい中で、いちいち外部に発注をかけていては、スピードに追い付くことはできません。
特に「小売」の世界に於いては、
あれこれ試行錯誤しながらゆっくり進む時間は意外にありません。
商売が始まれば「獲得しなければいけない売上ノルマ」は毎日襲いかかってきます。
仮に商品やブランドのコンセプトも変更もしなければならなくなれば、さらにお金も必要です。付け焼き刃で行き当たりばったりの行動では、商売を維持継続することは難しくなります。
だからこそ、自分たちで考えた「MD計画」を実装できる「自走化体制」を構築する必要があることお伝えします。

ECサイトの構築、運営に小売業の文脈を取り入れる」ということは、市場の声に敏感になるということとも言えます。
常に張らなくてはいけないアンテナが、より市場の今に向くように、普段から気を配る必要があるのです。

まとめ

今回は、ECサイトに必要な事として、運営側からの視点として「コンテンツ」と「継続力」の重要性をお伝えしました。また、市場側からの視点として「集客」と「売り場づくり」の重要性にも触れました。

いずれの要素についても、共通して言えることは、

変化への対応と継続が必要であること

継続性を担保するためには自走化が有効であること

です。これらの基本を押さえることが、魅力あるECサイト構築に向けた第一歩となるでしょう。

次回は、ECサイト構築に必要な事柄を総括します。

今回は以上です。


ここまでお読みいただきありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします。



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