50代から考える老後資金(2)年金

ポイント:年金だけでは生活保護レベルの貧しい老後になる。

20代の頃、漠然と「真面目に働いてさえいれば老後は年金で悠々自適な生活が出来る」と思っていたが残念ながらそうはならない。少なくとも私のその後の30年はそんな平坦な道では無かったし、世の中も大きく様変わりしてしまった。 

その年金の構造だが、「国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てになっている」とよく表現されるがその通りで、年金は大きくわけてこの2種類。サラリーマンの給与明細では「厚生年金」とだけ記されている事が多いが、それはこのなかに「国民年金(基礎年金)」分も含まれているという暗黙の了解があるからみたいだ。厚生年金はある程度の規模の会社で会社員をやっている人達だけのものでバイトやパート、自営業の人はこの2階部分の厚生年金は払っていない。また、私の様に海外生活や自営の期間、転職に際しての失業期間などがあると当然ながら厚生年金に加入していた年数は他の「まっとうな人生を送った人」に比べて少なくなる。厚生年金部分は収入によって変わるのでサラリーマン人生の多くの部分を1000万円越えの高給取りとして歩んだ人と平均500万で終わった人では掛け金が変わるので当然貰える額も変わってくる。

受給年齢も昔の人は60歳からだったが、私の世代、昭和36年4月2日以降に生まれた人は皆、65歳からとなっている。 

その手の本や厚労省が持ち出す年金のサンプル額は(1)給料が月43万円前後の人が厚生年金を40年きっちり払った場合の(2)嫁さんが専業主婦という「平均的な」夫婦で年金支払額は月22万円、としているが、参考にしかならない。 ましてや私の様に収入のUP DOWNが激しく、複数回の転職や日本に居ない期間があったりで厚生年金を払っていない期間がある独身者だと参考にすらならない。

幸い、2008年の「消えた年金記録問題」を機に送られてくる様になった「年金定期便」があるので今はそれで自分が貰える額が把握できる様になっている。本当に抜けがないかとか計算方法があってるか、とか役所に対する不信感は未だあるにせよ、数字が見えるなった事は当時の政権の成果だと思う。

年金定期便によると、2019年1月の段階で私が65歳になった時に貰える年金額(基礎年金+厚生年金)は月約11万円。40代の一人暮らしで生活保護を受けると月8万円+家賃だというので、このままだと私の老後は生活保護以下という事になる。もっとも、キビシいのは私だけではない。平成27年に厚労省が行った調査では厚生年金生活者が実際に貰っている額がひとり平均14万7872円という結果だし、国民年金のみだと40年きっちり払った「満期」でもひとり月6万5,141円しか貰えない(平成2年度の数字)。

これらの数字は今後の景気や年金システムを支える働き盛りの人数などにより変わっていく。いわゆる「マクロスライド」ってやつだ。世界における日本の立ち位置、今の日本のコスト高な政治、格差、モラルの低下、そして何よりも止まらぬ少子化、、、など総合的なトレンドは悪い方向に向かっているのでこの額(価値)が目減りする事はあっても増える事は無いだろう。物価が上昇した場合、マクロスライド方式では年金額も増えるが、実際の物価上昇率よりは低くなるという。

長くなったので(3)へ続く。


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