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読書感想:問題児の私たちを変えたのは、同じクラスの茂中先輩2 (角川スニーカー文庫) 著桜目禅斗 

【痛みを救ってくれたあなたに今度は私が手を差し出す番】 


【あらすじ】
クラスの余り者→リアルが超充実!? 青春解放ラブコメ第2巻!



碧たち“問題児”は修学旅行を乗り越え、ぎこちなくもグループとして集まるようになった。

鈴が炎上に仕立て上げられた証拠を集めたり、みんなで初めて休日に遊んだり。それぞれが居場所をここに見出し始めた一方……

「僕達がこのままの関係だと二年四組にとってよくないと思うんですよ」

彼らの前に、クラスの優等生集団のリーダー・木梨総悟が立ちはだかり!?

そんな騒がしい学校生活のさなか、元生徒会長の未月と、かつての親友・緑川豊美の因縁も動き出す。

本物のワルに堕ちた豊美を救い出そうと、未月は単独で不良グループに潜入するが、不覚にもカラオケ《密室》に誘導されてしまい――!?

Amazon引用

過去の因縁が碧達の前に立ち塞がる物語。


はぐれ者ばかりが集まった修学旅行を乗り越えて、和気藹々と絆を強くする碧達。
仲間である鈴の炎上事件を探ったり、元生徒会長の未月に陰謀の摩の手が迫ったり。
遂には、クラスの優等生·総悟が温かな関係に物議を醸してくる。
そんな頭を悩ます問題達を誠実に一つひとつ一刀両断していく碧。
その類まれなる手腕に隠された危うさ。
自分を犠牲しようとする碧を誰が救ってあげられるのか?
炎上事件を切っ掛けに両親からの監視が厳しくなった鈴の解放と、未月の過去に迫っていくが、碧自身の問題は依然として解決は滞っている。

碧の秘密が明かされ、彼の心を今度は自分たちが救うと意気込む問題児達。
しかしそこはやはり問題児。
それぞれが勝手に思惑を進めて、事態は予期せぬ方向に向かう事になる。
赤間鈴の炎上事件の裏側と黒沢未月の生徒会長クビの真相について判明するが、どれも同情を禁じえない理不尽な結末で、そのやるせなさに心が哀しみにざわめく。

そんなやるせない状況の中、碧の提案する問題児だからこそできる青春の送り方を実際に体験していく。

夜間の学校でのプール遊び、ゲームセンターでの一幕など、どこか退廃的だけで、刹那さ故の享楽があった。
問題児だからこそのルール破り。
だけど真っ直ぐな青春が問題児達を救済していく。その救いを齎された未月やキラたちは、碧を救いたいと勇気を出して踏み込み。
その一歩にいっそ強引なまでに背を押され、意を決して碧は仲間達にアリスが故人である事実を告げる。
だがそれは、本当に正しい行いであったのか?
碧の行いとは違い、彼女達が碧に渡そうとしている救いは、本当の意味での救済足りえるのか?
だが、その言葉で彼女達の心の箍は外れてしまったのだ。
失う物が何もない無敵の状態で、碧を自分達なりの言葉で救おうとする。

そして、言葉には強い力がある。
何の気なしに放った励ましが、逆にその人にプレッシャーとなり追い込んだり。
ちょっとした言葉が絶望に沈んだ人生に光明が差したり。
その言葉に、傷付いた心が救われたり。

泣きながら訴えれば哀しみが伝わる。
睨みながら怒鳴れば怒りが伝わる。
笑いながらおどければ、楽しさが伝わる。
感情を切実にこもれば、気持ちが伝わる。
だからこそ、周りに理解されたいなら、躊躇わず言葉を伝える事が大切なのだ。

何故なら、言葉は人を変えられる。
人が変われば未来が変わる。
未来は自らの手で掴むんじゃない。
言葉を伝えて掴むのだ。
確かに赤裸々な言葉を相手に伝えるのは怖いし、勇気もいる。
否定されたら、立ち直れない気持ちにもなるだろう。

それでも、傷つけ傷付いた心の痛みが、問題児達の人としてのさらなる飛躍に繋がる。

痛みを知って強くなった彼女達の今後の展望に目が離せないのだ。






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