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あれは閃光、ぼくらの心中 (文春文庫 ) 著 竹宮ゆゆこ


【交わる筈もない孤独な星が交錯しあって、夜空に輝きを放つ】



ピアノ一筋の幸紀は、思わぬ挫折により家出し、ホストである弥勒に拾われ、奇妙な共同生活を始める物語。



ピアノが生き甲斐だったのに、居場所を失くして途方に暮れる幸紀を救った弥勒。

彼の住居に転がり込むとそこはゴミ屋敷のような汚部屋で。

ピアノ以外何も知らない幸紀と家族に対して問題を抱える弥勒。

互いに孤独な星を抱える彼らは部屋を片付ける事で居場所を作る。

互いに暗い喪失を抱えながらも繋がる事で生き永らえる。
傍から見れば、それは歪な共依存なのかもしれない。
しかし、良いじゃないか。

人生に絶望して、この世から己を消し去るよりは、どんな形でも生に縋り付く執着が心の裡に産まれたなら。
互いを想い合い、支え合える関係が何とかギリギリの縁で、この世界に踏み留まる理由になるなら。
それを、誰が何を言おうと美しく素敵な関係だと断言出来る。
真っ暗な絶望に埋め尽くされた人生の中で、一筋明るく光る閃光。
勝ち負けじゃない。生きる事も死ぬ事も、一緒に選ぼう。


各々の日常に戻っても彼らにはきっと生きる意味があるのだ。





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