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映画感想文【夕陽のガンマン】

1966年 イタリア・スペイン・西ドイツ製作
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ

映画.comより
イタリアを意識したチェレステカラー、かも?
非常にカッコいいポスター


<あらすじ>
凶悪犯エル・インディオが刑務所から脱獄し、1万ドルの賞金が懸けられた。インディオ一味を追う若き賞金稼ぎ・モンコと商売敵のモーティマー大佐は、一味全員の賞金を山分けすることを条件に手を組むことに。2人は反発し合いながらも次第に絆を深め、インディオを追い詰めていくが、大佐にはある別の目的があった。

映画.comより

マカロニ・ウエスタン誕生60周年を記念しての4K復刻上映。
名前は知っているもののちゃんと観たことがないので、若きクリント・イーストウッドのご尊顔を拝むべく行ってみた。
エンリオ・モリコーネの音楽も劇場で味わいたいし。

マカロニ・ウェスタンは、1960年代から1970年代前半に作られたイタリア製西部劇を表す和製英語。多くの作品はユーゴスラビア(当時)やスペインで撮影されたとされている。

Wikipediaより

イタリア製だからマカロニ。上手いこと言ったもんだなぁと感心する。
当初アメリカなどで「スパゲティ・ウエスタン」と呼ばれていたのを映画評論家の淀川長治氏が「スパゲティだと貧弱だから」とマカロニに言い換えたのが始まりだとか。マカロニのほうが語呂も良いよね。

今回はマカロニ・ウエスタンの3大傑作と言われる『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』のドル三部作※を連続公開するという企画だが、残念ながら『荒野〜』は見逃してしまった。配信もしていないようなので、DVD借りようかな。
※最初の2作の原題に「ドル」(Dollar)が入っていることかららしい。

期待に胸を膨らませ鑑賞に臨んだ今作は、荒削りで、なのにちょっと気障で、やっぱり荒野の風景がカッコいい西部劇だった。音楽も期待通り、他にはない高揚感で痺れる。
クリント・イーストウッドと言えばもちろん往年の名俳優なのだが、個人的には監督としてだったり『ミリオンダラー・ベイビー』や『グラン・トリノ』のように「老爺」役の印象が強い。代名詞とも言える『ダーティハリー』も実は記憶の彼方。

そんな「おじいちゃん」だったはずのクリント・イーストウッドがスクリーンの中で馬にまたがり颯爽と荒野を駆けまわり、バカでかい拳銃をぶっ放す。めちゃカッコいい。
口数は少なく、それでいて皮肉が利いている。賞金稼ぎとして手強いライバルで相棒・モーティマー大佐に良いように踊らされているかと思いきやすぐさま十二分にやり返す。キャラの異なる二人のバディっぷりも見もの。
衣装がポンチョとスーツの対比であるのも気が利いているだろう。特にイーストウッドのスタイルの良さが強調されていてカッコいい。マカロニ・ウエスタンの草分け的存在であり、その後のアイコンにもなったというのも頷ける。

イーストウッドの鋭い眼光はモノクロ邦画に描かれる侍、例えば『用心棒』や『椿三十郎』を演じた三船敏郎を彷彿させる……、というと確信犯ではある。
というのもドル三部作の一作目『荒野の用心棒』はズバリ黒澤明監督『用心棒』のパクリらしい。(公開後東宝から訴えられているというのだからリメイクではなく明らかなパクリ(無許可)だろう。オイオイ。)
であれば続く今作が『椿三十郎』のオマージュ、というか意識してしまうのはむしろ自然な流れといえるかもしれない。ストーリーもちょっと通じるものがある。

そんなエピソードは苦笑いを誘ってしまうけれど、とにかくからっ風吹く荒野のイーストウッドが最高にイカしていることに疑いはない。
ストーリー展開がやや分かりづらいところもあったが、そこは情緒かむしろ自分の観察眼のなさか。マカロニのウエスタンとしては世間の評判正しく、最高峰だろう。
うーん、3作目『続・夕陽のガンマン』情報サイトの評判は良いけれど、観るべきか否か。大体の続編は駄作、の法則を覆してくれるだろうか?


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