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映画感想文【お前の罪を自白しろ】

2023年 製作
出演:中島健人、堤真一、尾野真千子

<あらすじ>
政治家一族である宇田家の次男・晄司は建築会社を設立したものの倒産し、政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の父・清治郎の秘書を務めながら煮え切らない日々を過ごしていた。そんなある日、宇田家の長女・麻由美の幼い娘が誘拐されてしまう。犯人の要求は身代金ではなく、翌日の午後5時までに記者会見を開いて清治郎が犯した「罪」を告白しろというものだった。それは国家を揺るがすほどの罪で、権力に固執する清治郎は口を開こうとしない。晄司は家族の命を救うため、罪に隠された真相を暴くべく立ちあがるが……。

映画.com


観終わって率直な感想は、うーん、星5点中2.5点くらいだろうか。

誘拐モノ、脅迫モノの真髄は意外な犯人と隠された真相だと思う。
その点から言えばセオリー通り。
加えてもう一つ。誘拐されたのが政界の大物(副大臣)であるから、暴かれる罪もスケールが大きいし影響も大きい。海千山千の政治家たちが政治生命をかけて足の引っ張り合いをするのがこの映画の見所である。

その流れが分かりにくかったわけではないが、今ひとつ迫力にかける気がする。
誘拐の裏には一つの動機があり、誘拐の影響に一つの政治的駆け引きがあったのだが、それらを余すことなく語るには少々寸足らず。時間が足りなかったのか、注力の按分ミスか、どっちつかずで物足りない気がする。

先程言った通り、概ねセオリー通りの物語だったので予想外の驚きは少ない。その点はむしろ期待を外さず、きちんとオチがついているので安心できる。
真の悪を決めづらい政治の負の面、力を持たない民の悲劇。
弱さから罪を犯した尾野真千子の涙も、それに相対して何も答えられない中島健人も良かった。それがこの世の中だが、是とせず立ち上がる若い力があるのだ、と示唆するラストも悪くはない。
(B'zはちょっとそぐわないような気もしなくはないが……)

しかしながら2.5点である。
なぜなら自分が観たかったのは堤真一だったのが、残念、この映画の主役は次男の中島健人であったのだ。

多分、この映画は面白い映画である。ただ自分が目算を誤っただけだ。
今のところ我がベスト・オブ・堤真一=石神哲哉(2008年『容疑者Xの献身』)を超えるものはまだ出会えていない。寡聞にして己が知らぬだけだと信じ、これからも素晴らしい堤真一を探したいと思う。

あと多分、真犯人逮捕のために嘘の報道を流すあたりは流石にアウトだろう。ちょっとやり過ぎ感。


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