記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

実写映画の難しさよ

周囲の評判が割りと良かったので劇場で『キングダム3』を観てきた。
何度も観させられた予告編と、周囲の評判とで、自分の中でもやたら期待値があがってしまっていたのだな…と思わずにはいられない。
予告編ってなんであんなに魅力的なんですかね。いろんな映画の予告編だけ観ていたい…。


1、2作目は未履修だが原作は読んだことがある。それも返って良くなかったかもしれない。
小説や漫画の映像化というものは、最初から越えるべきハードルが非常に高い。人それぞれ、既に出来上がっているイメージがあるから当然だろう。そのイメージと少しでも違っていれば、当人にとっては期待外れとなってしまう。

つまりは自分の持っていた原作のイメージと今回の映像化が、乖離が激しかったということだ。
キャラクターに関してはそれほど違和感はないし、特に大沢たかお演じる王騎将軍はなかなかの完成度であった。他に主人公の山崎賢人をはじめとして吉沢亮や橋本環奈たち若手の人気俳優たち、更に高嶋政宏やら佐藤浩市やら長澤まさみやら、有名どころがわんさか出てくる。興行成績がどの程度なのか分からないが、出演料だけで赤字にならないかと要らない心配をしてしまう。

とにかく登場人物が多いのはスペクタクル史劇の宿命だろうか。日本人に馴染みない中国の人名であることも相まって、誰が誰やら分からなくなりそうだがそこは仕方がない。
区別をはっきりさせたいが、一人ひとり濃いキャラ付けをしていてはリアリティがなさすぎるという、ジレンマ。映像化の苦しいところだろう。

アクションシーン、今回で言えば平原での大合戦だが、そちらも原作漫画とのギャップが大きい。漫画であれば比較的すんなりと受け入れられる奇跡も、実写化された途端、陳腐でリアリティにかけたものになってしまう。
たった百人で敵将の首取れるかよ!とか、農民の寄せ集めが精鋭すぎるだろ!とか。
そこを納得させるのが制作陣の腕の見せ所なのだろうが、今回に限って言えばちょっと残念な結果になってしまった。
主人公が剣の腕でのし上がっていく物語なので次作(多分あるだろう)はもう少し頑張って欲しい。


始皇帝を題材にした作品となると真っ先に『始皇帝暗殺』(1998年)が思い浮かぶ。中国・フランス・アメリカ・日本の合作だそうで、もちろん演じているのは中国の俳優だし中国語でのセリフだ。
日本による中国の歴史作品ということはつまり、例えるなら中国映画界が源平合戦や本能寺の変を題材に作る、という感じだろう。中国本土では一体この作品をどのような目で観ているのだろうか。
とりあえずは日本語で中国の歴史を語られるのに違和感が強く出そうであるが、その辺りもまとめて少々気になるところだ。

この記事が参加している募集

#映画感想文

68,281件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?