江戸Partyタイムトラベル

人魚のウロコを煮て食べた男がいる。わし、不死身になれた! そう叫んで腹を刺し、苦しみに苦しんで、痛ぇ、痛ぇ、叫ぶから、周りのものが見ていられず介錯をした。

首を撥ねた。
男は、しゃべることが、できなくなった。

しかして、生きていた。しゃべることができないまま、腹を指しても死なず、首を撥ねられても死なず、うねうねとうごめく不死身の男がそこに出来上がってしまった。

人魚を入り江で見た。
確かに見た。あのあとに残っていたウロコ、見てみろ、見たことない色だ! 何色なんだろう、これは?

現代でいうならホラー映画のティーンエイジャー、パーティピーポーな者たち。彼らのお祭りが招いた、この悲劇にして悲壮なる結末である。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」

江戸のパーティピーポーたちは言葉を失ってバケモノになった友がジタバタしているのを、見下ろす。
その表情は各々で異なる。恐怖、畏怖、激怒、怯え、冷徹に殺さねば、と、見る目もあった。介錯をした、若人である。

バラバラにして埋めてあるとか、土がもごりとうごくとか。江戸のティーンエイジャーが残した呪いと、怨恨は、現代にもまだどこかに遺されている。

これぞ遺恨、遺産である。


END.

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海老かにゆ
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