MEGAMAX(たんぺん怪談)

古代魚、メガロドン。シロナガスクジラなどを食べていた。古代魚、人魚。不老不死の霊薬の原料になるとされ、人魚たちも不死にちかい寿命があるとされる。

そうなると、人魚たちはいつから生きてきたのか謎が出現する。デボン期、白亜紀、メガロドン、原初の海原のどこでいつから生きてきたのか。そして、古代魚がそうであるように、いかほどのサイズが成体に相当しているのか。

ある夜、人間の大勢乗っている船が難破船となった。船尾がひっかかり、破けて沈んで船頭を空に向けながら沈没した。たったひとり、人魚が見初めた人間だけが、彼女の手によって浜辺に運搬された。ほとんど時をおかず、海の魔女のもとへ怪物が押しかけた。

あたしを人間にできる?

人魚は問う。魔女はできると答える。話はあっという間にまとまるが、大魔女の家はシロナガスクジラがゆうに100匹は収まるほどの巨大海溝のいちばん下にあった。

陽の届かない真の暗闇にて、怪異たちはヒソヒソと言葉を交わした。魔女は呆れ果てていた。

「あんた、また船を沈めたんだろ? 一体何万人何億人、どんだけ殺せば気が済むのさ」

「面白いよ?」

シロナガスクジラをゆうに超す、宇宙生物ほどの超巨体を海溝に押し込んで肩をちぢめて丸くなりながら、人魚姫は無邪気にほほ笑んだ。


END.

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海老かに湯
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