あたしらの約束は死ぬ

永遠なんてものはない。人魚姫はいない。不老不死なんてものはない。

だから、あたしとキヨちゃんの約束は、必ず死ぬのだ。
いついかなるときも。助け合って。支え合って。ずっと一緒に仲良くしよう。友達でいよう。あたしらが、恋人をやめるときに、約束した言葉を思う。

必ず、死ぬものなんだ。そう思おう。恋人をやめてもあたしらは、あたしらを大切にしているけど、そんなものいつ時間切れになるかわからない。どちらかが賞味期限を感じたらそれで終わる約束なんだ。

でも、永遠にずっと、一生、続くかもしれない。
なんてそんな夢は無い。

なにせ、必ず死ぬときは別々だ。みんなひとりで死んでいく。一人ぼっちで死ぬ。キヨちゃんとあたしの約束は、だから絶対にいつか破られる、果たされぬ約束事だった。

それでもあたしらは約束をする。きっと円満な別れ方とやらをする恋人や夫婦はみんなする。そして果たされない、時間とともに風化する言葉を言い合う、必ず破られるとわかっているのに。

あたしらは、いや、あたしは。
キヨちゃんとの約束を守りたい。うん確かにキヨちゃん他に好きなヒトができたなら仕方ない。別れるしかない。あたしがすがっても意味なんか無い。

だから、あたしは、キヨちゃんめがけてトヨタ車のアクセルを踏み切った。キヨちゃんめがけてジェットコースターになってあたしは風にのって消えてゆく。

あたしらの約束は、永遠になる。
なった。
永遠になった。

今。

今!!

衝撃で後ろに飛んだあとに前に転げ出る感じがした。耳からなにも聞こえない。意識がスッと跳ねて消えていく。これ。これが、あたしらの約束した永遠だった。

ねえ、キヨちゃん!
ずっと一緒だったね。


END.

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