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不朽の名作。

ミヒャエル・エンデが好きです。
これまで「はてしない物語」や「ジム・ボタン」など時間をかけて少しずつ読破してきました。

そして、ついに…あの名作に手を伸ばしました。
それは「モモ」

モモは主人公の女の子の名前です。
エンデの代表作である「モモ」は、ありとあらゆる書店や図書館で常にオススメ図書の上位。

私が初めてその存在を知ったのは小学生の時。
当時の司書の先生もやはり「オススメ図書」として大々的に紹介していました。
でも、なぜか当時は読まなかったんだよね。

時を経て、小学生からだいぶ遠ざかった私。
モモが「名作」と言われる所以が知りたかったし、エンデ好きとしてやはり「モモ」は外せない。
読むなら今しかない。この夏、貸出期間延長申請をしながら読破しました。

読んだ直後の感想は「大人になってから読んで正解だった」です。

ある日、街に灰色の男たちがやってきます。
男たちは不満を抱えている人の心の隙間に入り込み、あたかも正論のように
「あなたのやっている行動が、人生の中でいかに時間を無駄にしている行動なのか」を説いて回ったのです。
さらに節約した時間を「時間貯蓄銀行」に預ければ利子をつけて返すと言いました。そしたら将来は貯めた時間で悠々自適な暮らしを送れる、と。

街の人はその言葉を信じ、これまで遊びや娯楽、友人との楽しいお喋りなどに費やしていた時間を「無駄」と称し、節約するようになりました。
そして人々は1秒でも無駄にしないようセカセカと働き続け、心の余裕をなくし、常にイライラと怒るように。

ある時、モモは街の人がこうなってしまった理由や灰色の男たちの真の目的を知ってしまいます。
モモは街の人を救えるのでしょうか!?というお話。

ミヒャエル・エンデは作中で「時間とは、すなわち生活だ」と語っています。さらに「そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそって、なくなってしまうのです。」と続きます。これは分かりみが深い。
お客さんと楽しくお喋りをしながら髪を切っていた床屋さんは、灰色の男にそそのかされ効率のみを重視した接客になりました。
効率重視で街全体が荒廃していく描写は衝撃的で、心に刺さるものがありました。

灰色の男たちが奪っているのは「時間」
しかし、いつしか時間だけでなく
その人の大切なものや人間らしく生きることの尊さまでも奪ってしまっていたのです。
「モモ」は人間本来の生き方を忘れてしまっている現代人への警鐘。

物語後半はモモvs灰色の男の攻防戦。急展開していく場面。
入り込みました。
エンデはどの作品も深い学びがあって何度も読み返したくなります。
「モモ」名作だったよ。

良いのか、悪いのか分からないけど
あのとき小学校の図書室で「モモ」を手に取らなかった小学5年生の私を褒めようと思う。
たぶん当時の私の頭では物語の本質を深く理解することは不可能だったように思う。
でも、子どもなりに何か感じるものはあったのかな。今となっては分からない。

大人になると仕事や家事、育児に追われ自分の時間が短くなり、つい効率化を図ろうとしがち。
時には心を休め、他愛もないことに時間を割く。好きなことをとことん楽しむ。それは決して無駄なんかじゃない。モモを読んで改めてそう思った。

そうだ、自分らしく生きよう。

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