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ビジネス出張記010 : ミラノ (チェックイン)

1. コードシェア

 “アリタリアのEチケット予約で、JALとのコードシェア便搭乗“、聞くからに問題の起きそうな予約形態である。そんな不安が的中した、チェックイン劇を以下に纏める。

2. JALカウンター

 JALのチェックインカウンターの長い列に並んで待たされた後、漸く自分の番が回ってきた。担当は、黒髪を束ねた清楚な女性だった。マイルの登録までは順調に行ったが、その後、やけに時間が掛かっていた。電話でどこかに連絡を取り、明らかに何かがおかしい。「何か問題でもありますか。」と私の質問に、堅い表情で問題ありませんと答えた。恐らくマニュアル通りの対応なのであろうが、見え透いた嘘である。彼女が2度目の電話を掛けた後、カウンターの端に移動させられ、アリタリアの担当者を待つ事となった。丁寧な態度で折畳みの椅子まであてがわれたが、肝心の詳細な説明は全く無かった。

3. アリタリア登場

 10分ほど待たされた後、緑の制服を着たアリタリアの担当者が颯爽と歩いてきた。JALとはタイプが異なり、茶髪で大きなマスクをしていた。予約に不備有りとの事なので、旅行代理店の祝日緊急対応番号に電話してもらった。電話の保留時間があったので「空港でそのマスクは不自然ですね。」と会話を始めた。「花粉症か風邪か分からないでしょう。」と微笑むので、「テロリストとも取れるかも…。」と言うと大きな目を一瞬さらに広げた後、笑顔を浮かべた。機転が利く感じなので、追加の情報を出しながら解決策を探る事にした。チケット、予約のレシートを出して持てる状況を説明すると、どうやら察しついたようである。保留中の電話を切って、「こちらから掛けておきながら、切っちゃいました。」と少しおどけた表情を浮かべていた。マスクで隠れているが、少し舌を出しているような表情だった。どうやら、最終確定前に仮に抑えていた便がJALのシステムではまだ生きており、最新の予約が出てこない問題であった。綺麗な瞳に誘われて、「旅行代理店が悪いんだから、いいですよ、別に。」と勝手な事を私も自然と言っていた。また、「帰国便でも同様な問題があると思いますが、カウンターで説明して頂いても良いでしょうか。」と依頼され、本来は帰国便までに解決しておくのが筋だが、完全に手のひらで操られている私は「良いですよ、トラブルには慣れてるので。」なんて調子の良い台詞が口から出ていた。結局30分近く待たされたのだが、不思議と悪い気はせず、世間知らずのお嬢様風のJALと、世渡り上手?のアリタリアとの対応の違いを、楽しめて得した気にすらなった。登場ゲートにもそのアリタリア担当者はマスク姿で現れ、登場前に「先程は、申し訳ございませんでした。」と謝罪を述べて来た。すっかり気分良く登場している単純な自分に、男性の悲しい性を見た。

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