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ロンドン駐在記038 : ラテン語

1. 代理サイン

 代理でサインをする際に、イギリス人から名前の前に”pp”と付けるように指摘された。今までは”for”を付けていたが、この表現は初めてであった。何の略かと尋ねたが、コメントを付けた本人もラテン語から来ているということのみしか知らなかった。辞書で調べたところ、PPはラテン語“per procurationem”の略で“…の代理として“の意味であった。これを期に、ラテン語と英語の関係を整理してみた。

2. 言語

 ラテン語はジュリアス・シーザーが話していた古代ローマ帝国の言語である。民衆の話した俗ラテン語は各地で独自に変遷して現在のフランス語やイタリア語等になっている。紀元前からの歴史的な背景があり、高校時代の世界史を思い出した。一方、英語は5世紀ごろドイツからイギリスへ侵入したアングロサクソンにより話し始められた言語である。よって、言語学上ではゲルマン語系であり、ドイツ語・オランダ語と近い。ただし、語彙はラテン語、フランス語などを大量に取り入れていれている。(ラテン語圏の人が英語をすぐにマスターできる理由である。)また、当初は文語を持たず、読み書きは教養の高い階級に限られ、しかもラテン語を使用していた。日本人が漢字を輸入・使用していた歴史と同じである。ラテン語の文法を参考に英語の文語が確立されたのは、シェークスピアの時代(15世紀)ごろからであり、歴史は浅い。このあたりが、誇り高きフランス人が英語を見下す所以である。

3. RSVP

 飲み会の招待のメールの最後に”RSVP”とあった。何の事か分からなかったが、フランス語répondez s'il vous plait (=please reply)の省略だそうだ。語彙が少なく英語の単語だけでも分からないのに、ラテン語系まで持ってこられると大変である。英国人にはもっと英語に誇りを持ち、純粋な英単語のみを使うようにしてもらいたいものだ。

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