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チガサキ⊿ライフ037 : タミフル

1. 家族感染

 娘の体調不良から発し、順番に息子、妻が高熱を出した。娘は症状が治まった後に病院に行ったので定かではないが、息子と妻はインフルエンザであった。普段から整理整頓の出来ない妻は、薬の名前を書いたナイロン袋から粉薬の小袋を出しっぱなしで机の上に散らかしていた。ただでさえ薬の取り扱いは気を付けないといけないのに、タミフルも含まれているので、見かねて子供の分だけ取り上げて、私が管理するようにした。

2. タミフル

 タミフルは、スイスのロシュ社が販売するインフルエンザの薬である。日本では中外製薬が代理店として取り扱っている。今回調べて始めて知ったのだが、タミフルは高価な為、海外では富裕層でないと使えなく、全世界での使用量の約75%を日本が占めている。効果として、インフルエンザの症状がさらにひどくなるのを抑え、症状が出ている期間を短縮する画期的な薬である。ただし、服用していた患者が異常行動の結果事故死(転落死)したことが話題となり、2007年3月20日に厚生労働省より「原則的に10代には使用禁止」となっていた。

3. 服薬

 妻がタミフルを飲み始めて3日目の朝、5日分のはずの薬が無くなったと言い出した。可笑しいと繰り返しつぶやきながら、ぐちゃぐちゃになった薬局の袋の中をあさっていた。薬局から渡された時には皺一つ無かった紙袋が、古ぼけた初老の外見に変わってしまっており、その中は乱雑に散りばめられた複数の錠剤とその殻のごみ袋と化していた。どう扱ったらそうなりえるのか私には理解できないが、自業自得の妻に絡まれないように聞こえない振りをして子供と朝食を食べていた。インフルエンザに病んだ青白い顔を、更に苦痛に歪め、近づいてきて放った妻の言葉は、「一日1錠のタミフルを、誤って2錠づつ飲んでいた、どうしよう。」だった。そんな事を聞かれても、どうしようもない。彼女に本当に必要なのは、違う薬だと思いながら絶句した…。旦那に嫌味つきで寝とくように言われ、力なく布団に戻っていった…。もし厚生労働省に報告できるなら、30代への過剰使用に副作用の問題無しと、一つの実証結果を伝えたい。

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