『宮下愛は火属性』3巻読了!

『属性行使警備隊』

宮下愛は火属性3 486ページ

震えましたねえ!!!!


という訳で岩しろ先生著『宮下愛は火属性』の感想には程遠い雑談コーナー、第3回。

1巻の雑談書いた時にも、同じように2巻の感想書いた時にも抱く懸念が「次巻が感想書くに値しない内容だったらどうしよう」なんですが、この3巻に関しては本当にそれが懸念、というか読んでる途中で「早く感想を語らせろウオアアアアアー!」ってなってました。


1,2巻は休日に休憩を挟まず一息に読むことが出来たのですが、この3巻に関しては平日にちょこちょこ読んでたので「おそらくこの話が3巻のピークだな」なんて思いながら毎回就寝していたのですが読み終わってみれば20話あたりからずっと高値を更新、右肩上がり、面白さノンストップの3巻でした。中盤から伸びてきてそのまま難なくぶっちぎった、ただの強い馬だこれ……。


Twitterでも言ったけど、この3巻が個人的に2023年1番面白かった同人小説大賞取れるまである面白さ。現時点での対抗馬が同じように岩しろ先生の『春凪詩』なので傍目には出来レースを疑われそうなこと請け合いですね。

今これを書いていて
・語りたい事が多い3巻
・語るとかいいから先が読みたい
・適当な感想は失礼
この3つの正義がぶつかり合っています。


◇思想泥棒

2巻の感想で「愛さんが反乱を起こしたのは侑ちゃんの思想に感化されたからであってほしくない、常に自分で出した答えであってほしい」って綴ったんですけど、

まさしくそれについて『宮下派』を用いて言及されてたのがすっごく嬉しかったです。結局愛さんの反乱も自分の絶対意思によるものでしたし。

他人の意見や思想に乗っかるだけの行為、便乗、作中の言葉を借りるならまさしくそれは『思想泥棒』に他ならない忌むべき行為だと思っているので。結局そこには当事者ほどの正義は乗らない、だから薄っぺらくなってしまうっていうことまで歩夢vs栞子のあたりで更に掘り下げてくれて重ねて感謝。


◇月が綺麗ですね

なんかうっかり忘れてた2巻の感想。

「また居残りしよう」

宮下愛は火属性2 105ページ

愛さんから果林さんへのこのセリフが
「貴方を愛しています」
に聞こえたって話をするのを忘れていた。
とても印象的なシーンだったのに2巻の侑ちゃんと歩夢ちゃんがあんな地獄だからすっかり失念していました。

愛していますってのも少し違うんだけど単に好きって軽さでもない、日本語でも言い表せないその間の部分の気持ちが乗ってるセリフだと思います。


そして今作の、

「死んで」

宮下愛は火属性3 329ページ


桜坂さんからかすみさんへのこのセリフは明確な「貴方を愛しています」でしょう!

#24 蜃気楼が好きすぎて辛い...…。
なんでこの人の書かれるしずかすはこんなにも......。

部長という『鏡』を通しての会話とか、桜坂さんのクソデカ感情とか大好きな話。大好きすぎて逆に書くことが無いぜ!


◇彼方さん(畏怖)

何年遅い高校デビューだよってくらいにキャラ変更のなされた今作、というかseason2の彼方ちゃん。あの慈愛に満ちた優しい彼方ちゃんは居なくなってしまったんだなぁ……と絶望していたからこそ、#23 既得権の彼方ちゃんの寝言には驚いた。

反乱が原因で遥ちゃんに危害が加えられ、宮下愛を絶対許さない遥ちゃんに仇成す者全自動殺戮マシーンになってしまったと思っていたので人の心がこんなにも残っていた事に心底驚愕したのを覚えている。

どうしてか、をこんな風に予想したけど結局は違った。結局彼方さんは優しい人であることに変わりはなかった。#27 の彼方さんの号哭のなんと優しいことか。

とはいえその優しさは彼方さん自身に向けられていたらしい。彼方さんは自身の為に、彼方さんの大切な人を守ろうとする。だから『他人に優しい』宮下愛の気持ちが分からない。属性開花以前からあった不平等を受け入れたのも結局はそういうこと。

「属性が無くなれば世界はきっと善くなる」
そう言っていた侑ちゃんのセリフに私が全く賛同できなかったのは、結局のところ属性が無くても世界に格差は存在していたから。どこかで間違いなく存在した格差が属性発現によって侑ちゃんに回ってきただけ。属性の発現によって生まれた格差は、かつての格差をどこかで同時に埋めたのだろうと思う。言ってしまえば格差による不平等が回ってきた「だけ」。

それを自身の幸せの為にかつて虐げられていた誰かに返してしまおうと考えるのはとても主観的だと言えるし、同時に人間らしさだとも言える。誰だって現状に不満を覚えていればそれに抵抗する。私だってそうする。

今作を読んでいて考えさせられるのは作中で投げかけられる『正義』、そして『平和』。

『平和』ってなんだ。

私はそれを「自分と自分の身近な人間が日常的に不幸を味わうことのない世界」と定義しようと思う。

平等なんて幻想だ。
常に誰かが不幸を被らなくてはいけないなら、それは自分の身近な人間であってほしくはない。それを自分勝手だ、主観主義だと物申すやつがいるのだとすれば私は言ってやりたい

「じゃあお前が不幸を被れよ」


現実世界では「多様性」を認める方向に動いていますが、これはつまり個々人の『正義』を、主観主義を認めるということでもあり、結構やばいことなんじゃないかなぁと思っています。現状は正義という各々が持つ刀の刃を幾分か潰して、主観主義を幾らか抑えて成り立っている状況であり、それを「真剣を振り回していいよ」って容認するのはなんかやばい気がする。認められるべき多様性はもちろんあるけど、ここで言う「認められるべき多様性」も私の主観でしかないわけですし。


長々と語ってしまったけど火属性を読みながら考え、つまるところ私は「人類皆平等世界平和」なんてのは幻想だと思っている。滅亡以外にあり得ないとも。

だからこそ火属性の世界を生きる彼女たちがどんな決断を下すのか、宮下愛がどんな決断を下しているのか、世界がどうなっていくのかをこれから知るのはとてつもなく楽しみです。


嵐珠ちゃん 鐘嵐珠ちゃん
全属性属行行使 とってもすごい
だから着てくれ 黒スーツ
この先で 黒スーツを着るのか着ないのか
それだけが気になって 仕方がないんだ
仕方がないんだ

鐘嵐珠ちゃん黒スーツを着てくれ高校校歌より一部抜粋


また次巻!

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