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眠りの質を高めて元気な身体を作る。アーユルヴェーダのムーンレシピ

今や日本人の20%が悩みを持つという眠り。自分はたくさん眠れている方かな?と思っていても、実は中途覚醒(夜中に目が覚めてしまうこと)や昼寝が自然と習慣化されていて違和感を持っていないだけかもしれません。

一方で、睡眠はアーユルヴェーダにおいて健康の3つの柱の1つとされるように、健康を維持する上ではとっても大切です。眠りを改善すれば精神安定が戻ってきたり、身体のむくみもスッキリしたり、肌も綺麗になったりといいことばかり。何よりも消化代謝が正しく行われるようになり、免疫力を高く保つには良質な睡眠は欠かせません。

こちらのnoteでは、睡眠の悩みとドーシャの関係性を考えた上で、牛乳と生薬を使って作るレシピをタイプ別にご紹介します。

コロナ禍で増えた眠りの悩み

2020年に入ってからは、新型コロナウィルスの影響で、eatreat.のアーユルヴェーダ・セッションでも眠りに関する相談は圧倒的に増えました。

①運動不足になって、以前のように気持ちよく眠りにつけない
②パソコンに向き合う仕事が増えて、脳が覚醒したままで眠りにつけない
③これからどうなるのか不安で、嫌な夢を見てしまう
④夜中に何度も目が覚めてしまうので、朝起きた時に疲れが取れていない

といった内容です。

①運動不足になって、以前のように気持ちよく眠りにつけない

家から一歩も出ず、自宅での仕事が増えると必然的に運動量は減ります。不要不急の外出自粛を呼びかけられていることもあって、なんとなく今日も出かけないで宅配で済ませようかな、という日が増えていきますね。
寒い時季ならなおさら。それでも、人との距離を保って20分程度の散歩をするだけでも身体がほぐれ、疲れを回復するために眠りにつくことができます。

②パソコンに向き合う仕事が増えて、脳が覚醒したままで眠りにつけない

リモートワークをするようになったお客様に話を聞いていると、以前よりミーティングの回数が増えているようです。1日4時間もパソコンを見たままzoomでコミュニケーションを取っていると、とにかく眼と脳が疲労します。ベッドに入った時、おでこに手を当てると熱を持っていませんか?それはずっと稼働させたままにしたパソコンのファンが回って熱くなっているような状態。頭部の熱を下げて、交感神経をお休みさせてあげないと、人は眠りに入ることができません。

③これからどうなるのか不安で、嫌な夢を見てしまう

コロナ禍の影響で、生活環境が大きく変わったり、働き方に急な変化を強いられたり、その急な変更についていけないと感じている方も多いのではないでしょうか。変わっていくことを前向きに受け入れられるのは、心も身体も健康な時でないと難しいものです。

それなりに楽しんでいると思っていても、漠然と「これからどうなってしまうんだろう」と先の見えない未来に抱く不安が少しずつ心の中で広がっていくと、夢見が悪くなり、眠りの質が低下します。

④夜中に何度も目が覚めてしまうので、朝起きた時に疲れが取れていない

④は①-③を複合した結果、起きやすく、脳の覚醒と心の不安が合間って、中途覚醒する人が増えているようです。夜中にパッと目が覚めて、また目をつむるとすぐに眠れるのでそれほど気にしていない方も多いようですが、中途覚醒はあまり良いサインではありません。
浅い眠りを繰り返し、熟睡できていないので、疲労回復が十分にできず朝起きた時に「まだ疲れているな」と感じる。そして二度寝をしたり、昼寝をしたりしてしまう。それがまた夜の眠りの質を低下させます。

眠りの悩みをアーユルヴェーダの視点でタイプ分け

眠りの悩みを引き起こすアーユルヴェーダのドーシャはvata(風、空)とpitta(火)の2つです。
・vata...伝達、移動など何かを動かす力。神経系統と関係の深いドーシャ
・pitta...変化、代謝など判断を下す力。眼や脳と関係の深いドーシャ

最後にkaphaがありますが、kaphaは固定・維持する力で呼吸器や心臓と関係の深いドーシャですが、倦怠感や鈍重感をもたらし、眠ることが得意で、むしろ眠りすぎることが不調をもたらします。

一方で、vataは心の不安による自律神経の不安定や、移動の低下が原因で、前述の悩みに紐付けると①や③のような悩みを起こしやすいです。
そして、pittaはリモートワークによる眼や脳の影響から②のような悩みを起こしやすいと考えられます。

さらにvataもpittaも憎悪していると④のような状態に陥ってしまうのです。実際のところ、不眠に悩む方は、どれか一つのタイプに特定することはできずどの悩みも行ったり来たりしていることがほとんど。

「原因を断つこと」がアーユルヴェーダにおいては治療や予防になります。不眠を解消し、眠りの質を高めるためには、vataもpittaもケアする必要があります。

【recipe】ムーンミルクを作って、眠りの質を高める

最近、西海岸発祥の流行で定着しつつある「ムーンミルク」。ホットミルクにスパイスを溶いて、眠る前に飲む温かいドリンクです。

「ムーンミルク」は厳密に言えばアーユルヴェーダの言葉ではないですが、その元になったのはアーユルヴェーダの中でもベーシックなレシピ「ターメリックミルク」だと思います。

ホットミルクにターメリック、ギーを溶くと、まるで満月のような金色。コップを両手でかかえて覗き込んでいるだけでなんとも安心します。

2021/1/26発売の『女性自身』で眠りとドーシャのタイプ別にご紹介したムーンミルクのレシピを4つ、こちらでもご紹介します。前述の通り、眠りの悩みは複合的であることがほとんどなので、ご自身のタイプを深く考えずに色々作ってみて「この香りは好きだな。自然と眠たくなるな」と感じるものを見つけて、夜の習慣に取り入れてみてくださいね。

①シャタワリのムーンミルク(pitta向け)

シャタワリは「100人の夫を持つ女」という異名を持つアーユルヴェーダを代表する生薬の一つ。「どんなステージの女性にも味方になってくれる」ことが特徴的で、女性ホルモンをバランスし、更年期の不調を和らげることもできます。(※筋腫がある場合、摂取を控えた方が良いので注意)

材料:ミルク200cc、シャタワリ3つまみ
作り方:材料を鍋に入れて中火にかける。沸いたら弱火に落とし、2分ほど煮て漉して飲む

ターメリックとカカオニブ、ギーのムーンミルク(pitta向け)

ストレスにより疲労した肝臓を労わる「クルクミン」がたっぷり入ったターメリックと、交感神経を鎮静するカカオニブ、そして体内の乾燥を潤すギーが入った一杯。「ターメリックミルク」のアレンジレシピです。お仕事疲れが続いている方はぜひ。

材料:ミルク200cc、ターメリック小さじ1/2、カカオニブ適量、ギー小さじ1
作り方:ミルクを鍋に入れて縁がふつふつとするまで温める。カップに移し、ターメリックとギーをよく溶いたらカカオニブを散らし、よく噛みながら飲む(カカオニブはカカオ70%以上のチョコレートに代替してもOK)

ホーリーバジルとフェンネルのムーンミルク(vata向け)

自律神経の働きを整えて、免疫の高い身体を作るホーリーバジルは、シャタワリに並びアーユルヴェーダを代表する生薬の一つです。さらに、フェンネルは整腸しますので、vataタイプにありがちな便秘や消化不良など胃腸の環境改善にも効きます。腸内環境と神経系統の深いつながりはここ数年とても注目されています。腸内から眠りの質を高めましょう。

材料:ミルク200cc、ホーリーバジル3つまみ、フェンネル1つまみ
作り方:材料を鍋に入れて中火にかける。沸いたら弱火に落とし、2分ほど煮て、漉して飲む。(ホーリーバジルは手に入りやすいティーバッグのものをミルクとともに温めてもOK)

④シナモンとカルダモンのムーンミルク(vata向け)

シナモンは血行促進と興奮を鎮める効果の両方を持ち、その甘く優しい味がvataの不安を和らげます。そして、カルダモンは芳香が良いだけでなく、牛乳の粘性を取る効果があるので、ミルクの消化を助けてくれます。チャイのような風味のある一杯。

材料:ミルク200cc、シナモンスティック3cm、カルダモン1粒
作り方:材料を鍋に入れて中火にかける。沸いたら弱火に落とし、2分ほど煮て、漉して飲む。(シナモンはパウダーで代替してもOK)

eatreat.オリジナルホットチョコレートブレンドでムーンミルクを作ろう

バレンタインということもあり、この2月はeatreat.TEAでオリジナルホットチョコレートブレンドを販売しています。

カカオニブ、カルダモン、クローブ、黒胡椒、きび砂糖を配合しているので、レシピの②と④のいいとこ取りのようなムーンミルクを作ることができます。お好みで、ほんの少しターメリックを加えてもいいかも。

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ご自身のために、大切な人へのバレンタインのプレゼントに、使ってみてくださいね。eatreat.のお店「eatreat.CHAYA」でも2/8(月)以降イートイン&テイクアウトでお楽しみいただけるようにしますので、お味見ください。

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