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6月:真夏に備えて消化力をバランスするレシピの作り方〜料理編

真昼の太陽が最も高く位置する日「夏至」が過ぎて、一年は太陽から月の時間へと入りました。アーユルヴェーダでは夏至から冬至までの期間をダクシナーヤナ(南回帰)冬至から夏至までの期間をウッタラヤーナ(北回帰)と呼びます。

昨年の冬至から夏至までの間は、太陽がグングンと力を強め、その熱が体力を奪うことから北回帰の半年をアーダーナ(奪取)と呼び、大地の水分は渇き、それと同時に人の体力も減退していきます。

夏に至る夏至の頃は人の体力が最も低下する頃。アーユルヴェーダでは体力と消化力、免疫力はほぼ同等のため、この頃に食欲が落ちたり、風邪を引いたり、疲れが取れなくなったりする方が多いのではないでしょうか?

夏の養生というと真夏になってから…となりがちですが、実はこの夏至の頃から体力を維持できるように食生活を見直すと、秋の頃まで元気な自分を保つことができます。というわけで今月は、真夏の消化力を元気に保つ食事のレシピをお届けします。

pitta(火)の暴走を止めるケアは純性の高いもの

夏はドーシャの中でも火を象徴とし、消化・変化の働きをする生命エネルギー「pitta」が増えやすいことを前回の生活編でお伝えしました。夏の暑い日差しはまさにpittaそのもの。頭上から、眼から熱を吸収すると、もともとpittaが優勢でない体質の人でも体内のドーシャバランスがpittaの増加により崩れやすくなります。

pittaが増加するとどんな症状が現れるか?については暮らし編に記載していますが、pittaを乱すものは食べ物だと
・揚げ物
・酒類
・腐敗したもの(腐りかけたものも含む)
・時間が経ったもの
行動でいうと
・怒ること、怒られること
・議論すること
・批判すること、されること
などがあります。
全体的に血気盛んになり、イライラしている感じ。

アーユルヴェーダは何事もイメージを持って学んでいくとわかりやすくなっていくのですが、pittaが乱れている状態というのは「新橋のガード下で、お酒を飲みすぎて若者に説教をする中年のおじさん」のような状態です。

顔を真っ赤にして、なんでも良いから怒る対象を探している。それくらいストレスと熱を体の中にこもらせてしまっているんですね。

熱や怒りが溜まったとき、これを読んでいる方はどんなふうに発散しているでしょう?食事やお酒、または人との会話で発散する方など、様々だと思いますが、夏のpittaの「こもった熱」はそうしたもので発散せず、「熱を冷ます」涼しい場所や食べ物に求めることがポイントです。

とにかく新鮮な野菜を使い、やさしい気持ちで作ってもらった料理、花を買ってきて生けたテーブルで感謝して食べる。休日は一人でゆっくりと、自然豊かな場所へいく。瞑想の時間をもち、さっぱりと身綺麗にして過ごします。pittaのケアとはそうした「純性の高いもの」が適しています。

特に食事がpittaを左右することは多いので、イライラした時、暑くて仕方がない時は、その熱を煽るような辛いものやビールと揚げ物といったチョイスではなく「何か綺麗なもの」とか「食べたら涼しくなりそうなもの」をイメージして選んでみてくださいね。

刺激の強いものや冷たすぎる飲食物を避ける

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pittaを憎悪する食事は、揚げ物や酒類、腐敗したものなどですが、他にもあらゆる刺激的なものを避けた方がベターです。具体的にいうと、
・コーヒー
・タバコ
・チョコレート
・辛い料理、食材
・氷が入った飲み物
など。

この中でもコーヒーは意外だったのではないでしょうか?
コーヒーはアーユルヴェーダでは「鋭性」(えいせい)の性質。
朝にコーヒーを飲むとすぐにお通じが出るという方は少なくないと思いますが、それは腸への鋭い刺激をコーヒーが与えている証拠です。
(ちなみにこのコーヒー飲んでお通じを出す癖がつくのはあまり良いことではありません)

他にも様々な嗜好品がpittaを憎悪しやすい食べ物になります。辛いものなど熱をあげすぎるものもイメージがつきやすいかと思います。

一方で、氷が入った飲み物はpittaに限らず、どんなドーシャでもNG。せっかく燃やしている消化の火に水をかけるようなことをすると、消化・変換の力が失われてしまうので、氷が入った飲み物や、自販機や冷蔵庫から出したてのキンキンに冷えた飲み物もおすすめできません。

夏の間はこうした飲み物に手が伸びがちですが、熱が引くのは一瞬のこと。またすぐに飲みたくなってしまうので、喉が乾いて仕方がなくなる上に、冷たい飲み物を飲みすぎて身体がどんどん冷えやすくなります。

コリアンダーシード・カルダモンシード・ローズなどの冷性の生薬を使ってお茶を作り、常温でいただいてさっぱり気分転換するようにしてくださいね。

簡単に作れる冷性のスパイスのお茶でクーリングダウン

夏にさっぱりするお茶というと麦茶やとうもろこし茶などがありますね。これらももちろん良いのですが、eatreat.流でいくならスパイスティ。スパイスといっても体温をあげる物ばかりではなく、体の熱をとってくれる冷性のものもたくさんあるので、そのお茶がおすすめですよ。

例えば、メジャーなのがコリアンダーシード。鍋でカラカラ乾煎りしてから水を差し、3-4分ほど煮出すと香ばしいお茶ができます。これを常温でいただくと、自販機で買ったキンキンに冷えた飲み物よりもよっぽどスッキリするので不思議。

ついつい冷たいものを飲みすぎて困りますという方は、この夏コリアンダーティを常備してもらい、特に食後に飲むと、食事中にどうしても上がる熱がスッと冷めて身体が楽になるので良いと思います。

真夏に備えて消化力をバランスするワンプレートレシピを作ろう

今月の主役スパイスはクミンシード。
クミンシードは、先月のカルダモンがスパイスの女王なら、スパイスの王子様という感じ。摂りすぎるとpittaを上げますが、食欲が落ちやすくなってきたら、特に肉類などには積極的に合わせて食欲増進・消化促進サポートに使うと良いと思います。真夏になる手前で摂っておくと良いスパイスです。

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テキストでのお話と、料理のレモンストデーションの動画(*動画は2020年4月以降)の両方があって、見ながら実際に食事を作って楽しめるところがポイント。

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