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読んで味わうアーユルヴェーダ料理〜studio monkのレッスンに向けて

「健康になる食事」と聞いてみなさんはどんな言葉が浮かびますか?
私は具体的な栄養素や巷を賑わすスーパーフードよりも、温かい湯気や空間、好きな人の顔が浮かびます。それは私が食事で満足し、健やかな気持ちになるために欠かせない要素です。

一方、セッションでは「私に合った食べ物はなんですか?」「コーヒーや白砂糖、小麦粉はとってはいけないのでしょうか」といった質問をいただくことが多い。「何を食べるか」より「どう食べるか」が大切と思っている方が少ないのかなと思います。

アーユルヴェーダの料理を三軒茶屋でお出ししよう、と決めたのが2019年の8月。それから経過した約2年の間、試行錯誤がありつつもアーユルヴェーダの世界で良い食事とは何か、が言葉に、料理にできるようになりました。

5/16(日)のstudio monkでのオンラインレッスンでは「アーユルヴェーダの料理とは何か」を言葉で味わってもらいます。それに向けて、マクラのようなお話をお届けします。

食べる目的

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そもそも、人はなぜ食事をするのでしょう。
今は効率的に栄養素を摂取できるサプリメントやプロテインもあるし、注射やビタミン剤で補完して生きていくことは可能です。

食事をすると、人の身体はエネルギーを使います。食べものという異物が外部から入ってくると、消化の道にポッポッと火がつき、担当工場長があくせく働いて、食べものを消化し、構成要素と老廃物に分類・変換します。

いつも同じ時間、同じエネルギーでどんな食べものでも消化できるわけではありません。長時間必要とすることもあれば、3時間程度で済むこともある。消化に重たいものを食べると身体がだるくなり、眠気が現れるのはそれだけエネルギーを消費している証拠です。

失敗すると未消化物ができ、それが病気の原因になる、とアーユルヴェーダでは考えられています。食事にはリスクを伴うのです。効率的ではないし、だいたい食べるまでに料理をしなければならない。

それでも人は食事をします。私は食べることが小さい頃から大好き。人生があと40年くらいあるとして(今38歳です)あと何回食事ができるだろうとその回数を計算して、一回一回大切にしようと思うくらい好きです。美味しくない食事をすると、その日1日が台無しになります。

食事は栄養素を人体に送り込むだけでなく、大脳を介して神経系、内分泌系にも影響することが現代医療の世界でも明らかになってきています。これはアーユルヴェーダの世界ではずっと昔から言われてきたこと。人は食事によって精神的な満足を得て、食事によってリスクを介しながら生理機能(アーユルヴェーダでいうところのドーシャバランス)を整えているのです。

薬よりも食事が人を救うこともある

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三軒茶屋のコワーキング「三茶WORK」を仲間達と作ることが決まり、玄関口に大きなキッチンを構え、そこで「茶や」をやってほしいと言われた時、どんな店にするかしばらく悩みました。

eatreat.として、食事やお茶を通してアーユルヴェーダをシェアするまたとない機会に恵まれたものの、果たしてどんな料理がやりたいのか考えれば考えるほど具体のイメージが混乱していきました。

新鮮な食材を用いること・できたてを重んじるため作り置きはしないこと・食事に集中するため一人客が落ち着けるカウンターの店にすること、などアーユルヴェーダの食事法に基づいて一つずつ決めていき、だいたいの型が見えてオープンはできたものの、その食事を通してお客さまに私が何を提供できるのだろうか?というのだけが最後までわからなかった。

それを教えてくれたのは、お客さま自身でした。
私の店では、目を瞑って一人で食べる人が多い。ゆっくり味わって、小さくため息をつきます。注文時に胃腸の調子を素直に打ち明けてくれて、ご飯の量を調整したり、お茶を選んだりすることもある。

「eatreat.で食べると、心が満足して、満ち足りた自分になります」「満腹になるのに、身体が軽くて午後の仕事も捗ります」「優しい気持ちになって、嬉しいことや美しいことを発見しやすくなります」
これは来店されたお客さまから寄せてもらったメッセージです。

目を瞑ったり、胃腸の相談をしたり、食べると満ち足りることも、そんなこことができる店があったらいいなと一番願っていたのは私のはずで、それが自分が立っている店で本当になって、eatreat.の料理がお客さまにお渡しできることがこんなにもあるということの自信に繋がりました。

不調が現れた時、病気になった時、私たちには薬剤が必要になります。でも、食事を重んじることなく、薬剤だけを頼りにしてもよい効果は得られず、治療に時間がかかったり、完全な回復ができなかったり、病気が再発することもあるとアーユルヴェーダでは伝えています。

一方で、薬剤を頼りにしなくても、食事をすることで味覚を通して精神を満足させ、満ち足りた自分になり、栄養が行き渡って不調が治ることは大いにあり得るのだと思います。一粒の薬よりも、一回の食事が人を救うこともあるのです。

自分を見て食べる

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心が満足し、満ち足りた自分になり、元気になる食事をするには、どうしたらいいのでしょう?一日三食、eatreat.に来るわけにもいかないし、日々の自炊や外食でどんな風にチョイスをしたらいいか迷う方は多いですね。

巷で話題のスーパーフードや、健康番組で「これを食べていれば病気にならない!」と謳われるたびに、それにいっとき夢中になり、私のところでも「この食材がいいと聞いたのですが...」と聞かれる方があとを絶ちません。

ものすごく不思議なのですが、これから長い人生のなかで、それだけを食べ続けていくつもりで、健康に良い食事を探しているのでしょうか?

セッションや料理教室で私がいつもお伝えしているのは「食べものに罪はない。食べるときは、自分を見て食べる」ということです。まず、今日の自分のお腹の調子。張ってないか、重たくないか、モヤモヤしていないか。それから、立ってみたときのバランス具合。ぐらぐらしないか、安定感があるか、顔を上げて空を見ることができるか。

元気がない感じだったら、できるだけ優しく、温かく、汁っけの多いものをゆっくり食べるよう伝えています。そこにタンパク質があるか、ビタミンたっぷりの野菜が入っているか、そういうことも大切だけど「温かくて優しくて、汁っけが多い」というだけで元気がなくても食べられるのです。

対象ではなく、まず自分を見ること。木だけを見ず、森を見ること。食事を通して、自分にとっての健康は何かが鮮やかになっていきます。

Studio monkのワークショップ内容と申し込み方法

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というわけで、来週のstudio monkでのオンラインレッスンでは「聴いて味わうアーユルヴェーダ料理」と題して、アーユルヴェーダの食事のことを丁寧にシェアします。

健康食迷子になっている人、ダイエットがなかなかうまくいかない人、自分の料理に満足できない人などにおすすめです。もちろん、アーユルヴェーダ自体に興味がある方も。アーカイブ参加も可能なため、お気軽にお申込みください。

当日のアジェンダ(予定)
・アーユルヴェーダの健康と食事
・ダイエットってしてもいいの?
・サプリメントだけでは足りない理由
・栄養素をたっぷり吸収する食べ方
・食べたものを記憶する食べ方
・心地の良いところで食べる
・食べものの性質と有益な食材の紹介
・食べ合わせの注意とアレルギー
・場と時と量
・油の大切さ
・六味を味わう
・自分を見て食べる
・Q&A

前半がわたしからのお話。
後半はmonkのヨガインストラクターでアーユルヴェーダヨガを伝えるKEIさんが「ヨガと瞑想」のワークを行ってくれます。ヨガマットなどをご用意のうえ、リラックスした格好でご参加ください。

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●詳細・お申込・お問い合わせはこちら
https://studio-monk.com/event/?p=98

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