送り迎えのことばかり考えていた
狭い部屋で寝ていると泊まりに出ていた子どもたちが帰ってきた。
子どもたちが自力で移動していることに心強い思いでいっぱいになる。
ほっとくと死ぬ様相で生まれ、そのうち立って歩いて手づかみで食べるなどを覚え、それにしても送り迎えをせねばどこにも行けない日は長く続いた。
息子0歳から娘6歳の9年は子どもを保育園へ送って迎えることがプライベートにおける最重要事項だった。思えば私の30代のうちの行動の多くが送ると迎えるを基本に構成された。「送迎」と毛筆で大きく書いたTシャツを数枚作って日々着てもよかったくらい、送り迎えのことばかり考えていた。
そして今、子供たちは勝手にどこかへ行って帰ってくるようになった。
すごい、すごい、すごい。なにがすごいか、すごい楽なのだ。こんなにも未来は楽なものだったのか。
狭い部屋にみっちり敷いた布団の上でカッと目を開き感激した。
娘はそのまま作文教室の集会に出かけて行った。
急に送迎に思いをはせて胸が熱くなってしまい、その胸のあつさといったらなにを思ったのかこれまで一切遊んだことのない脱出ゲームのアプリを急にiPhoneに入れてプレイしてしまうほどであった。
ぜんぜん脱出できず、しばらく頑張ったがどこかでタガがはずれて答えを見まくってクリアした。「タガがはずれる」という言葉の由来と意味をかみしめるくらいわかりやすくタガがはずれていた。
昼はローソンのパンのクーポンがたまっているのを口実に自宅でコンビニパン祭りを開催する。息子のリクエストが「あんぱんひとつとカレーパンふたつ」で、そんなセレクトありか! と自由度の高さに感心した。
娘と一緒に行ってわっさと買いこみ豊かな気持ちになり、クーポンもためていた3枚すべてが適用され晴れ晴れする。帰ってみんなで食べた。これも息子の希望で買った牛乳がおいしい。普段無調整豆乳を好きで飲んでいるが、牛乳は甘いんだな。たまにカフェラテを飲んで甘いなと思っていたがあれか、牛乳が甘いのか。
息子はカレーパンの成分表示の品名が「ドーナツ」なのを発見して興奮していた。そうそう、カレーパンってドーナツって書いてあるよね。「これは『夜のメモ』に書こう」とのこと。息子は最近気づいたことを夜メモしており、そのメモを「夜のメモ」と呼んでいる。かっこいい。
午後は娘をバレエの稽古に送って(送迎は続く)、稽古の間のひまを喫茶店でつぶした。いつだか同じ店で同じようにひまをつぶし、その時に飲んだレモネードがおいしかったので今日は前回よりも大きなサイズを頼んだら味が薄かった。
終えた娘と無印良品に行ってレトルトのカレーを買った。先日テレビで見て子どもたちがうまそうだとざわついていたので食べさせてやりたいと思った。
一袋350円して少しひるむが買った。
帰って、娘はバターチキンカレーを、息子はグリーンカレーを、私はレッドカレーを食べて、なるほど……おいしいな……。ほかの市販のタイカレーよりも甘くなく鋭角に辛い。うまいうまいと食べた。
夜もまたiPhoneで脱出ゲームをした。今度はまじめにやった。娘がメモを取ったり一緒に考えたり手伝ってくれてキャッキャする。
どこかに閉じ込められたという体で、誰がなんのためにこんなことを? という種類の謎を解いていく。干されている洗濯物のタオルの色のとおりに鍵の色を合わせるなど。あまりにも謎自体が謎だから照れた。
そのうち娘が、そろそろ寝ようかなと立って、息子も追随し、私も寝室に向かった。それで全員22時すぎには寝た。私たちはよく寝る。3人ともこの後、翌日9時まで寝ることになる。
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