新マスク文庫の「拝啓」七田苗子×ジユンペイ
こちらの小説へのお返事となる、「君」からの400字のお手紙。
採用作品は「拝啓」の裏に印刷します。
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#400字の手紙
拝啓、空の上より。【400字の手紙】
ねえ、知ってる?
雲の上には、音も匂いもないんだよ。
夏になると、
私は風に乗ってあなたに会いにいく。
ねえ、ここにいるよ。
って風に教えたけど、聞こえた?
あなたの淹れる、コーヒーの穏やかな香り。
片耳のイヤホンから聞こえる、大好きなあの曲。
葉っぱが揺れて囁く、優しいメロディ。
風が運んでくる、ほのかな夏の匂い。
あなたが毎年出してくれる、麦わら帽子の焼けた匂い。
ぜんぶ、届いてる。
拝啓 ~あなたへのお返事~
ー 私は今、微笑んでいます。
何故なら、あなたのくれた言葉があまりにもあなたらしいから。
いつも聴こえているよ。
あなたと一緒に聴いていたあの曲。
透き通るような心地よい風に吹かれて踊る、枝や葉の揺れる音。
そして、少し寂しげなあなたの囁き。
あなたの淹れてくれた珈琲。香りだけは毎朝いただいてますよ。あなたが大きなため息を漏らしながら、その珈琲を啜っているのも知ってます。
あなたの前