プライドが高い人とどうかかわっていけばいいのか
つい最近、疎遠になりかけていた友人の誕生日だったので、久しぶりに連絡をしました。
実を言うと、今年に入ってからLINEをブロックされていてもおかしくない態度を取っていたのですが、
(連絡するねと言って放置、相手から連絡が来ても最低限の返信のみ)
相手からはきちんとした返信が来て、ああ自然消滅のような形にならなくてよかった…。と、ほっとしました。
が、
久しぶりにその友人とやりとりをした結果、
もうすでにその友人への連絡を断ちたい衝動に駆られています。
ということで今回は、その友人の何が私にとってダメだったのか考えていこうと思います。
“プライドが高い”の何が問題か
結論から言ってしまうと、それはズバリ相手のプライドの高さから来ていました。
ただ弁解をさせてもらうと、なにより私自身プライドが高かったという自覚があり、
学生時代はそのせいでぼっちだったことさえあります。
家族にも似たような気質の人がいたため、
当時の私は、おそらくパーソナリティ障害の一種(自己愛性パーソナリティ障害)を患っていたのではないかとさえ思っています。
そして、今でもその性質が完全になくなったわけではありません。
なので、自戒や反省の意味もこめて、プライドが高いことの何が問題か、見ていきたいと思います。
“プライド”を辞書で調べると、二つの意味が出てきます。
一つは、“誇り”や“自尊心”といったポジティブなもので、“true pride”本当のプライド、とあります。
もう一つは、“うぬぼれ”や“傲慢”といったネガティブなもので、“false pride”偽のプライド、とあります。
当然、人付き合いで問題になるのは、二つめのプライドになります。
プライドが高いというのは、言ってしまえば心の傷にできた“かさぶた”のようなものです。
誰かから傷つけられたり大事にされない経験などを通してできてしまった傷を守ろうとした結果、“かさぶた”という名の偽のプライドができてしまったのです。
その“かさぶた”自体は、本人の中で行われている応急処置のようなものであるため、まわりの人には影響が及ぶことはありません。
しかし、この“かさぶた”を使ってまわりの人をおとしめたり、見下した態度をとったりすると、対人トラブルになってしまいます。
また、“かさぶた”があることを理由にして、人からの好意を当然のものとみなしたり、善意を踏みにじるような行動をとることも問題となります。
当然まわりの人は、そんな態度をとるプライドの高い人に対して反発したり、憤りを感じてしまいます。
プライドが高い人は“困っている人”
プライドが高い、をこじらせた究極の状態が、自己愛性パーソナリティ障害だと私は思っています。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴として、以下のものがあります。
自己愛性パーソナリティ障害は、“かかわってはいけない人”、“モラハラ”、などと形容されることがあります。
たしかに、“障害”という名前がついている通り、その攻撃的なパーソナリティが原因で、本人やまわりの人に深刻な影響をもたらします。
しかしこれらの特徴は、偏った自己愛のバランスをなんとか平行に保とうとする行為と言い換えることもできます。
褒められなかった
認められなかった
満たされなかった
愛されなかった
そういった背景から、自己愛を十分に育てることができなかったため、
かわりに“自分は本当はすごいんだぞ!”と思い込むことによって、生き延びようとした背景があるのです。
つまり、
自分を好きになりたい、自分を認めたいけれど、どうすればいいのかわからない。
と、自分を健全に愛する方法がわからず、困り果てているのが自己愛性パーソナリティ障害を持つ人であり、プライドが高い人なのです。
プライドが高い人のどんな行動が問題なのか
精神科医の泉谷閑示氏は、パーソナリティ障害は自己愛の障害が根本にあるとし、次のように記述しています。
プライドが高い人と接していると、“暖簾に腕押し”のような、まるで透明人間と話しているような感覚がします。
どんな言葉を投げかけても、それがすべて相手の自尊心を満たすためだけの道具にされたような気がしてしまい、対等に扱われている感覚がしません。
“自分自身に対して「欲望」を向けた状態”というのは、自分を“モノ扱い”していると言い換えることができます。
自分をモノ扱いしているので、他人のこともモノ扱いしてしまうのです。
その結果どういうことが起きるかというと、
人と心の通った交流ができない
誰かと心からつながることができない
ということが起きます。
プライドが高い人は、誰かといても、その人のことを見てはいません。
その人が自分にとって有益かどうか、使えるかどうかという、“道具”のような存在としてしか見ていないからです。
そのため、“対等”で“分かち合う”ような、心温かい関係を築くことができません。
まわりからしたら、まったくもって迷惑な話です。
自分を気分よくさせる道具として人をモノ扱いするなんて、とついつい思ってしまいます。
しかし、思い出してほしいのですが、プライドが高い人は、実は“困っている”人なのです。
プライドが高いというのは、本人の心理的に言うと、“たいした装備もないのに戦場に放り出された状態”と言えます。
そんな心細い状態では、心地よいそよ風さえ自分を切りつけてくる刃物のように感じられてしまいます。
そして、立派な装備を身に着けている人を見ると、
“たいしたもんじゃない”、などとけなしたくなります。
そうしないと、自分がひどくみじめに思え、耐えがたいほどの屈辱感と敗北感に打ちのめされそうになるのです。
そしてまた、こんなみすぼらしい装備を与えられているのだから、他人の装備をもらったところで咎められることはない、と
相手の装備を勝手に持って行ったり、奪いとろうとします。
これが、プライドの高い人がよくやる、
被害者意識からくる被害妄想
相手の無価値化
責任転嫁
になるのです。
プライドが高い人への対処法
では、プライドが高い人への対処法として、どんなものがあるのでしょうか。
まず一つ言いたいのは、プライドが高い人と接したときに、
間違っても罪悪感を持つ必要はない
ということです。
プライドが高い人と接したとき、私たちはついつい自分を責めてしまいがちです。
例えば、
転んでケガをしている人に駆け寄って、
大丈夫?と声をかけ、ハンカチを差し出します。
すると、転んだ人は何も言わずに、そのハンカチを奪って走り去ってしまいます。
そこで、“心配してあげたのに!”と腹を立てるのと同時に、自分のやったことは偽善行為なのかと思い悩んでしまうことがあります。
また、ハンカチを奪われムカついたことに対して、“自分は心が狭い”などと思ってしまうこともあります。
しかし、そういった罪悪感を持つ必要は全くありません。
プライドの高い人は、そこにいるようでいません。
一人の世界で生きています。自分が自分を常に監視し、ジャッジし、否定する世界で生きているのです。自分が目的であり、モノなのです。
と同時に、他人のことも、血が通った一人の人間だという認識ができません。
それは、幼少期から健全な自己愛を育てることができなかったことから来ています。
プライドが高い人の問題は根深いため、中途半端に関わろうとすべきではありません。
プライドが高い人よりも、心が通い合った人との交流を優先するべきなのです。
プライドが高い人とは、とにかく距離をとる。この一言につきます。
プライドが高い人は優しい面もある
“プライドが高い人とは距離をとる”と書いておきながら、私がなぜその友人との付き合いに悩んでしまっているかと言うと、
過去に、その友人から優しくしてもらったり、励ましてもらったことがあるからです。
プライドの高い人は、100%悪いところがあるわけでありません。
ときには優しく、尽くしてくれるところもあるのです。
しかし、その優しさと冷酷さのギャップに、私たちは翻弄されてしまうのです。
その友人が、『自分はダメだ、自分は生きる価値がない』と落ち込んでいて、悩みを打ち明けてきたとき、
相手のためになんとかしてあげたい!お返しがしたい!と思い、『そんなことないよ。あなたは素敵だよ』と一生懸命励まします。
しかし、返ってくる言葉が
「え、知ってる。ってか、何当たり前のこと言ってんの?他になんか、言うことないわけ?」
なのです。
これが何回も繰り返されていくうちに、だんだんと心が疲弊してきてしまうのです。
プライドが高い人の何が一番罪深いかと言うと、
愛を求めすぎるあまりに、自ら愛を得られるチャンスをつぶしてしまっているということです。
これは、ほかならぬ過去の私に当てはめて言うことができます。
結果、私は大学4年間をぼっちで過ごしました。
社会に出てからも、しばらくは友達ができませんでした。
プライドが高かったせいで、思い返すのも恥ずかしいほどの失敗をたくさんしてきました。
プライドが高い人とは健全な関係は築けません。
元当事者として、どういう対応をしてほしいか、しいて言うならば、
適度な距離から、そっと見守る。
ということが言えるかなと思います。
年に1、2回でいいので、連絡をとる。突然連絡を断つのではなく、細く長く付き合いを続ける。
そのうちに色々な経験をして、その友人は自らの“呪い”から解放され、人と健全な関係を築けるようになるかもしれません。
過去の過ちを反省し、謝罪してくることもあるかもしれません。
とにかく、プライドが高い人とまともな交流を持とうと思っても、いいことはありません。モラハラな家族なら、なおさらです。
今プライドが高い人との関係に悩んでいる人は、どうか自分の心が守れる適切な距離をとっていってほしいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました🍀
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