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いびつな愛のかたち

またもや唐突で恐縮だが、愛といっても様々な表現や形が存在する。
自己愛、恋愛、友情など、数えたらキリがないほど。
恋愛に関していうと究極の愛は片思いに尽きると思う。

まぁ、軽いジャブはこの辺にしておき、今回紹介する映画は前回と前々回と違いふざけてない作品だ。
邦題「奇跡の海」
調べてみたら1996年の作品だったんだなー。
モチの論でこの作品は当時映画館で観たよ。
その後DVDで三度は観た。
で、監督はラース・フォン・トリアー。
この監督の名前を聞くと映画好きな方ならご存知の様に、俳優を精神面から追い詰めるコトでも有名だ。
それ故、この監督を苦手とする俳優も少なくない。
そんでもって描写が過激で暴力的な要素がプンプンする。

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物語は1970年代スコットランド海沿いの寒村が舞台となっている。
長老協会の影響が色濃く残る保守的な場所。
主人公のベス(エミリー・ワトソン)と沖合の油田で働く流れ者のヤン(ステラン・スカルスガルド)が結婚する所から話が進む。
二人の結婚生活は平穏を送っていたが、ある時ヤンは作業中に事故を負う。
命に別状はないものの下半身不全に見舞われヤンはあろうことか、ベスに他人との性交渉を求め、その経験談を話して欲しいと身勝手な申し出をする。

当然ながらベスは拒む。
だがヤンを愛するあまりベスは行動に移す。
最初はぎこちなくベスは努力を重ねる。
次第にベスの格好が派手になり周囲から売春婦として罵られ、次第に村人の標的となりベスは孤立して行くと同時に幸福とは真逆の道へと堕ちて行く。

個人的な意見を述べるならば、定められた道(宗教)と陰に潜む光(現実)が交差し、理想は現状と化すのか…または現状は理想と化すのだろうか…といった理不尽にも聴こえる不協和音が物語の核となっていると勝手ながら思う。
それと、よく愛は盲目と例えられるが個人的にはそうではない。
受け入れるか拒むかのいずれかだと思う。

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またもや、このままだと浜村淳 先生の様に全編を語ってしまいそうなので、あらすじはこの辺で。

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わーお!

話は戻り、この作品の見所は35ミリのフィルムで一つで撮っている影響もあり、手振れがより現実味のある演出効果が働いてか、映画作品というよりもドキュメンタリーに近い仕上がりになっている。
そして第八章に物語は分断され、時代設定に相応しい音楽に合わせている。

特にロッド・ステュワートの「IN・A・BROKEN・DREM」がいい感じで泣かせてくれる♪

そして主人公を演じたエミリー・ワトソンの演技は最高だ。
しかもこの作品が映画初出演で二つの主演女優賞にノミネートされた。
この作品では脇役で目立たなかったが、ジャン=マルク・バールはラース・フォン・トリアー監督の作品に出演してから出演作を選ぶ様になったそうだ。
忘れかけている方々におさらい。
ジャン=マルク・バールといえば、リュック・ベンソン監督の出世作、邦題「グラン・ブルー」の主人公を演じたジャック・マイヨールだよん♪

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そうそう、エンゾ・モリナーリを演じたジャン・レノのライバルだよ!
向かって右側のイケメンがジャン=マルク・バール、思い出した?

思い返すと、エンツォとジャックの関係もいびつだったっけかなー。

きゃっ☆

ついでだからグラン・ブルーの予告編をば。

いずれにしても懐かしいな〜。
そうそう、愛。
形が重要なのではない。
生前に白洲正子 氏が語っていた様に、いびつなものにこそ美学が潜むと。

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えへ♪

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