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コース別で「かけ橋」に出会う旅|茨城大学教育学部附属小学校4年生探究旅行レポート①

「かけ橋」を辞書で引いてみると、こんな説明がありました。

かけはし
両者の間にあって両者の関係や交渉をとりもつこと。また、その人や物。なかだち。また、目的を遂げるための段階、道筋をなすもの。
精選版 日本国語大辞典

調べたのは、9月28日・29日に宿泊学習を行った茨城大学教育学部附属小学校の4年生と複式学級の児童の皆さんの総合的な学習の時間のテーマだから。今年度「未来へのかけ橋」というテーマで学習を進めている中で、様々な方面で人 ・もの・ ことのかけ橋になって関わるよさについて考えたり、今の自分たちにできることはないか模索したりする目的で、2日間校外を出て学習を行いました。4年生が宿泊学習を行うことは多くない中、児童の皆さんは2日間かけてどんなことを体験したのでしょうか。まずは、1日目に行ったコース別見学の内容をお伝えします。

関心に合わせた3つのコースに分かれて、“かけ橋”になっている人の話を聴く

クラスを解体し、目的地ごとに3つのグループに分かれて学校を出発した児童の皆さん。
向かったのは、つくば市内にある3か所。

・森林総合研究所
・高エネルギー加速器研究機構(KEK)
・防災科学技術研究所(NIED)

どの見学場所でも担当してくださった職員さんたちが児童の皆さんのためになる時間をつくろうと、創意工夫を凝らした講話を用意してくださっていました。

森林総合研究所コースの体験レポート

森林総合研究所に到着した子たちは研究所内のとても広い部屋に通され、
・株式会社しびっくぱわーの代表取締役社長・堀下恭平さん
・森林総合研究所の軽部正彦さん
の二名のお話を聞きました。レポーターである筆者は、こちらに同行させていただきました。

株式会社しびっくぱわー・堀下恭平さん「人の挑戦との架け橋になる」

まずは堀下さんからのお話です。

筑波大学在籍中に東日本大震災を経験。人は思っていたよりもあっけなく亡くなってしまうこと、「いつか」と思っていた未来が実現しない可能性もあり得ることから震災後2週間ほどで起業に至りました。あらゆる挑戦を応援してきた堀下さんのキャリアは、「人の挑戦とのかけ橋」だと言えます。

そんな堀下さんのお話は、児童の皆さんと対話のように進んでいきます。たとえば、こんな問いかけがありました。

「たった1人で無人島に行くことになったとします。1つだけ道具を持っていけるとしたら、みんなは何を持っていく?」

「食料」「なた」「家」「もう1人の人」「ドラえもん」など、附属小の皆さんは積極的に挙手し、自由な発想で答えていきます。

その一つ一つに「いいね!」「なるほど!」と受け止めてくれるので、さまざまな意見が次々に出され、楽しい雰囲気で会は進みます。

そんな中で、説明の言葉を足された質問が再度投げかけられます。

「たった1人、だけどバカンスで平均気温0℃くらいの無人島に行きます。楽しむための道具を1つ持っていけます。なにを持って行くとワクワクしますか?」

こう問われて初めて、私たちは最初の質問では
・行くことになるのは、南にあるあたたかい無人島
・1つだけの持ち物は、生き延びるために必要なものでなければ
などと、あれこれ勝手に決めつけて考えていたんだと気が付きます。

言葉を足された質問に、児童の皆さんからの回答は「友達」「トランプ」など明らかに変わりました。

「聞き方ひとつで相手の答えは変わります」と堀下さんは言います。何か新たな挑戦をしようと思うと難しく考えてしまい、諦めそうになることも多いと思います。そんな中でも挑戦を応援する人・堀下さんは、使う言葉を工夫するなどして日々挑戦を成功させるためにどうすればいいのか模索しているのだろうと、お仕事の様子をうかがい知ることができました。

森林総合研究所・軽部正彦さん「かけ橋となるために。木の橋をつくってみよう」

そのあとは、森林総合研究所の軽部さんにマイクが渡ります。

森林総合研究所には多くの研究者とそれをサポートする方がたくさん在籍しており、森の恵みを人々の暮らしに活かすための研究をあらゆる角度から行っている場所であるとのこと。
研究者が600名ほど、それを支える方が300名ほど(※研究所全体【各地の支所等を含めた職員数】)と人数を教えてくださった場面では、驚きの声がもれてしまう児童さんがいました。予想よりずっと多くの人が働いている場だと知っていただけてよかったです!

それから、森林を守っていくためには、森林資源を利用していく必要があるという説明が。利用法の一つとして教えてくださったのが、木材として橋にする方法です。
附属小4年生の学習テーマ「かけ橋」と合わせ、橋が必要となる理由や橋の種類をご説明いただきました。

木材を使っていくつかの橋の模型を作ってくださった場面では、
・どこから、どのように作っていくのか
・作るときに気をつけなければならないポイントはどこなのか
など、構造の図を見ただけでは知り得ないことまで学ぶことができました。

講話の後半には、見て学んだことを活かすコーナーも。

「虹橋」という橋を、1人1人実際に2種類の木材を組み合わせて作ってみます。軽部さんからの説明に加えて、職員の皆さんにサポートいただきながら挑戦してみますが、なかなか上手くいきません。見ていると簡単そうなのに、どの木材を、どこに配置して、どのように汲んでいくのか。自分でやってみると分からないことだらけです。

短い時間でのチャレンジとなりましたが、何度もお手本を見に行きながら、友達の手を借りながら、職員の方に質問しながら、それぞれが虹橋を作ろうと楽しく、主体的に取り組む姿が見られる時間となりました。

橋について、かなり詳しくなったお子さんたち。「かけ橋」の学習に、この日の体験がどのように活かされるのか楽しみです。

KEKコースの体験の様子

KEKコースを選んだお子さんたちは、
・株式会社しびっくぱわー青木優美さんによる霧箱づくりと、素粒子の観察
・科学コミュニケータ・髙橋将太さんからの講話
で科学に触れました。

そもそもKEKとは、
K…高
E…エネルギー
K…加速器
を指し、宇宙・物質・生命に関する研究を行っている場所であることを、小学生が分かるよう説明してくださいました。

ライター荒川は以前、鎌倉学園の生徒さんたちと一緒にKEKを見学させていただいたのですが、実験器具などを実際に見せていただきながら噛み砕いてご説明いただいても、高度な研究をしているため深く理解するのは難しいなという印象をもちました。
訪れる児童・生徒さんの年代や知識量に合わせて体験内容や説明の難易度を考えてくださるからこそ、研究に親しむきっかけになるのだなと感じます。たとえば、原子が非常に小さいものであると紹介いただいたときには「1の後ろに0を10個つけて、それ分の1」(10000000000分の1メートル)といった分かりやすいお話をいただき、あちこちから驚きの声が上がっていました。

髙橋さんは「専門家である研究者と、一般の非研究者をつなぐのが科学コミュニケーターである自分の役目。研究の楽しい部分をおすそ分けしている」という言葉通り、正に「かけ橋」になってくださいました。

小学4年生である附属小の皆さんは、理科の授業でまだ素粒子は学んでいないのにも関わらず、霧箱をつくって素粒子の動きを見てみたり、対話形式の講話で挙手して考えを発表するなど、積極的に参加し、楽しく理解を深めた様子でした。

中には将来KEKで研究したいと考えているお子さんがいたり、水やアンモニアの分子式を知っているお子さんがいたりと、コース選択制だからこそ科学への関心が高い児童がより楽しみつつ興味を深める場になったのではないでしょうか。

防災科学技術研究所の体験の様子

防災科学技術研究所(NIED)に向かった児童の皆さんは、
・取出新吾さんによる講話:災害と科学を「つなぐ」防災
Dr.ナダレンジャーの「防災科学教室」
に参加してきました。

「災害って何?」「防災って何?」と、前提の確認からお話はスタート。
自然災害そのものを幅広く研究し、他の機関と連携しながら災害の被害をできるだけ小さく抑えたり、できるだけ短時間で復旧させたりするために活動している、縁の下の力持ち的存在である防災科学技術研究所。

100%防ぐことはできない災害もありますが、そこで役立つのが講話のテーマにもなっている「科学」の力。
・地震の波をキャッチして知らせ、揺れに備えられるようにする。それが列車の脱線などの事故を防げる。
・雪下ろしのタイミングを、積もった雪の重さを元にお知らせし、建物の倒壊や転落事故を減らす。
実生活でどのように研究が活かされているのかを、実例をあげ、ユーモアを交えながら分かりやすく説明してくださいました。

ある児童から「この仕事をしていてよかったことは何ですか?」と質問を受けると、「人の役に立てているという使命感をもって働けます。が、災害が起きると仕事量が増えて辛いので辞めたいとも思います。災害のない社会になることを願っています」と、リアルな声を聞かせてくださったのが印象に残りました。

その後場所を変え、全身黒い衣装に身を包み、かつら・サングラス・マスクで顔を覆ったDr.ナダレンジャーと助手・ナダレンコによる、災害のしくみを楽しく学べるショーを実施。
建物の高さの違いによる揺れ方の違いや、突風が吹く理由などをたくさんの道具を用いながらテンポよく披露してくださいました。

この日の夜に行われた見学内容を共有する時間には、防災科学技術研究所を訪れた児童さんが他の子に向けて、液体を入れたペットボトルにデコピンをして液状化の様子を見せてもらったことなどを紹介。地震でおこるマンホールが浮いてきてしまうなどの難しい現象を、同じクラスの友達に説明できるだけ理解して帰ってきている理解力の高さに驚きました。

それぞれの「親しむ」を楽しむ校外学習

希望のコースで見学や体験をし、学びを持ち帰って共有する児童の皆さんの様子から「親しむ機会をもつことの大切さ」を教えていただいた気がします。人によって、また、時間の流れと共にモノの意味や価値は変わっていくけれど、親しませることはできるという話を思い出しました。
今回の見学で出会った「かけはし」が、今進めている学習に直接役立つお話を各コースでいただけたことと思います。あわせて、今回親しんだ経験がいつかどこかで思いがけず役に立つ場面がきたらいいなと感じました。

茨城大学教育学部附属小学校の皆さんの校外学習レポートは、次回に続きます。

アーストラベル水戸は「旅」を通じてお客様の課題を解決したいと考えています。
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