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【かぼちゃの種】

まだ日が高いうちに町に辿り着き、適当な宿をとって外に出た。

だいたいどこの町でも教会を目指して歩く。そこが町の中心だ。

教会に着いたところで、向こうからおばさんが歩いてきた。
「どこから来たの?」
日本から、と答えるとおばさんは、豊かな国ね、と言い手提げ袋を広げ見せてくれた。

中身には、小さな袋に分けられたかぼちゃの種がたくさん入っていた。
「私は貧しいわ。けれどね、誰かにお金をちょうだいということはしたくないの。例え小さなお金でも、自分で稼いだお金で暮らしたい。だからね、毎日かぼちゃの種を炒って、こうして町に売りに来るのよ。」

こうして出会えたのもきっと神様がくれたご縁だからね、そう言って
おばさんは僕に袋をひとつ持たせてくれた。



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