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植物とカルシウムの関係

 去年はこれまであまり意識してこなかったカルシウム散布を行ったおかげでBT剤も使わない有機栽培で虫の被害が明らかに少なくなっただけでなく糖度も50度を超えるような美味しい黒枝豆を作ることも出来ました。
 改めてカルシウムについて今一度、どのような効果や働きが植物や土壌にあるのかまとめてみます。

1.植物にとってのカルシウムの働きとは?

 正常な体の生長、およびその活力や健康の維持に大事な働きをしています。細胞と細胞の間のペクチン酸カルシウムとなり、組織として強固にするために働きます。
 ・細胞壁を強化する
 植物は丈夫な細胞壁を持つことでウイルスや細菌が引き起こす病気への抵抗力が高まります。
 ・植物細胞の成長を促す
 カルシウムは根、茎、葉などの植物の生長点に不可欠な栄養素。花や果実が出来るときの細胞分裂を盛んにして正常に進めるという役割があります。植物体内で水やタンパク質・炭水化物の移動に関係しています。
・生理作用を営むうえで重要な酵素の働きを活性化させる
・カルシウムは他の多量栄養素と違い、作物体内で移動しにくい特徴がある
 移動しにくいので、養分欠乏は新葉、成長点、根の先端の分裂組織などに現われます。カルシウムは古葉や古い組織からの移動がしにくい成分ですので作物の生育初期から生育期間中の全過程にわたって途絶えることなく供給する必要があります。

2.土壌中のカルシウムの働き 

 ・酸性土壌を中和する
  土壌の酸性化を抑制する
 ・土の粒子がくっつきあうのを助け、土壌の団粒構造化を促進する
 ・土壌の消毒

 植物の病気の多くが病原性の最近やウイルスによるもので、カルシウムにはそれらの繁殖を抑える効果があります。ほとんどのウイルスやバクテリアはpH12以上の強アルカリ環境で不活化され感染性を失います。

3.カルシウムと植物ホルモンの関係

果実  
 肥大の抑制・・早期から高濃度液を散布した場合
 成熟の遅延・・エチレン生成、ワックス溶出の遅延
 貯蔵力の増強・・生理病の発病抑制。果肉硬度低の遅延。
 着色の改善・・枝の伸長抑制や葉の角度が経つことが原因か?
   
 派出角度が鋭角・・上側に湾曲する場合もある。
   
 伸長抑制・・早期からの連続でみられる。
樹勢
 落ち着く・・2~3年連続散布すると明らかに現れる。


4.カルシウムの吸収効率

 カルシウムを効果的に植物に吸収してもらうために酸で溶かして吸収させる方法もあります。
<水1Lに対する溶解度>
・酢酸カルシウム→347000mg
・ギ酸カルシウム→166000mg
・乳酸カルシウム→97000mg
・リンゴ酸カルシウム→13771mg
・クエン酸カルシウム→26mg
・炭酸カルシウム→15mg

この表をみると酢酸カルシウムと炭酸カルシウムでは2万倍以上の差がでています。

5.品質保持のための散布

 pHが12.5以上の強アルカリ資材を使えばカビの発生が抑えられます。例としてはカボチャの収穫後にヘタの所に発生するカビ対策に強アルカリ資材のスーパーエコシェル0.2%の水溶液を散布をするとカビの発生が抑えられた事例があります。

 今年はカルシウム資材としてスーパーエコシェルを使いましたが、この資材はとても応用が利く資材でカルシウム供給だけで無く、いろいろな物を消毒するのにも使えるということです。

 食品添加物でもあるので安全な資材でもあります。コストパフォーマンスもかなり高く使い勝手のよいオススメの商品です。

6、カルシウム効果だけじゃないスーパーエコシェル

特徴
◆食品添加物 → 高い安全性
◆飽和水溶液が㏗12.5以上の強アルカリ
◆ウィルスや細菌を強力に不活化
◆逆性石鹸などの消毒効果を補強できる
◆高い洗浄力(有機物除去に優れます)
◆高純度微粉末 → 機械が詰まらない

pH領域表

強アルカリ(pH12.5以上)の環境は、病原性ウイルスや細菌が生存不可能で、不活性化します。
※上の図は主な病原性ウイルスや細菌の生存可能pH領域を示したもの

高い安全性と持続力

 強アルカリでも成分によって安全性が異なります。水酸化カルシウムはコンニャクの凝固剤や歯科治療の際に使われている極めて安全な成分です。スーパーエコシェルは皮フ刺激や急性毒性、金属腐食等の試験をおこなって、安全であると評価されました。
 また、高純度の水酸化カルシウムのため強アルカリの持続性が違います。スーパーエコシェルは96.5%以上の純度に対し、一般的な消石灰は約65%程です。この純度の違いが強アルカリを維持できる大きな要因です。下のグラフはスーパーエコシェルと消石灰(他社製品 純度65%)のpH値の持続性を比較したものです。

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使用の方法と用途

■ 約0.2%で飽和水溶液に → 水100L:製品200g
■ ウィルスや菌対策・洗浄目的で使用
動力噴霧器などに水に溶かして使用
・各種車両のタイヤ周りや車体への散布
・各種畜舎への噴霧、水洗洗浄 ・畜体への噴霧 ・踏込消毒槽の液
・器具、各種資材への噴霧 ・鶏卵、食鳥処理場、食品工場の洗浄消毒
■ 逆性石鹸の消毒力を強化
逆性石鹸に製品を加えることで消毒力を強力に補強 ※各種資料参照
■ 畜産農場の場合
※皮フ刺激・金属腐食共にありませんので、安心してご使用いただけます。
※動噴等で噴霧する場合、0.2%飽和溶液を作製後、上澄み液を使用してください。
■ 食品工場の場合 ※食品添加物のため使用可能
生鮮食品(肉、魚、野菜)の洗浄と除菌 ⇒ 賞味期限を延ばすことが可能です。

7、黒枝豆への効果

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今回希釈倍率を0.2%から0.1%に変更しました。理由としては0.2%だと白い粉が残っていたので少し薄めで散布しました。それでも効果はあったように感じます。コストパフォーマンスも2倍良くなりました!

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育苗時にもカルシウム補給と病原菌対策として使えます。

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今年はスーパーエコシェルを育苗時栽培期間中に4回圃場で散布しました。1反に60ℓ位の散水で少量ですが効果がありました。実感としてA品率が2020年は2019年に比べて上がっており、長年選別してもらっているパートさんも今年は綺麗な枝豆が多いとの意見が多かったです。

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出荷調整時にもエコシェルを散布する事で、枝豆の洗浄時に消毒も行えます。

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糖度も52.5度という驚異の数字が出ました。

8、まとめ

 カルシウムは植物に大切なミネラルなだけではなく、今の時代に特に必要な消毒にも大変有効な資材だと感じます。植物と土壌の健康状態を向上させながら、ウイルスなどの病原菌を防いでくれる2つの大きな柱になります。私たちはカルシウム資材を上手くつかいこなして、今年もさらなる品質と安全性、さらに農薬に頼らない環境再生型を目指していきたいと思います。