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君と僕の、終わりから始まった物語
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#百日草

朱色さす夕べ、花石榴の下で

朱色さす夕べ、花石榴の下で

あばら屋

そんな言葉が
頭に浮かぶ

やっているのか
しめているのか
分からない
店の色あせた看板が
ずっと並ぶ路地のその奥

流れのゆるい川辺に
朱色の石榴が咲いている

「ひとごろし」

蛍光カラーのペンキで
殴り書きされた
崩れそうな壁

色とりどりの
それを見て
ここは廃屋などでなく
君が住み家だとわかった

蝉の声が遠い

夕方になって
なお蒸し暑い

僕はネクタイのゆるめ
額を手の甲

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